経済学って、人間の学問なの?
経済学とはー人間の学問
経済学とは「お金の勉強!」と思っている人も多いでしょう。しかし、著名な経済学者アルフレッド・マーシャルは、経済学とは「人間の研究である。」と言っています。ただし続けて、「経済学は(人間の)行動の動機を主として問題にする」としています。どういうことでしょうか。
行動の「動機」を考えると、人がなぜそういった行動をするのかが見えてきます。すると、人の集まりである社会全体で、何が「なぜ」起きているのかが見えてくるだけでなく(現状分析)、さらに、今後どのようなことが起きるのか(予測)まで考えることができるようになってきます。こうした考え方の基本となるのが、「インセンティブ」という考え方です。
人間の行動を決めるものは……
「宿題をしたらケーキをあげる」といわれたので宿題をしたら、行動の動機は、「ケーキ」でしょう。一方「めんどうくさい」と思うならば、それは「宿題をやらない」という行動の動機になります。こうした行動の動機を、経済学ではインセンティブ(誘因)と呼び、ある行動をとる方向と、とらない方向の両方のインセンティブの大小関係が、行動を決定すると考えます。
例えば収賄などの犯罪行為では、道徳観や刑罰など「行動を押さえるインセンティブ」があっても、犯罪による利益など、「行動をとるインセンティブ」が十分に大きければ、誘惑に負けてしまうことがあるのが人間であると考えるのです。もちろん、すべてがこれで説明できるわけではありませんが、人間の真実の一面といえるのではないでしょうか。
こうして、インセンティブの方向を見極めると、社会現象の分析や予測を可能にし、ひいては、そもそも望ましい行動を選ぶようなインセンティブの仕組みを持つルールや規制まで考えることができるようにもなります。
人が幸せに生きられる社会とは
どうしたらより幸せに生きられる社会を作れるのか、これを真正面から考えるのが経済学であり、経済学は、そうした問題を考えるときに必要な、豊かな世界への鍵なのです。
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