脳と上手に付き合う生活とは
能力アップの秘訣は単純作業にあり
スポーツをする前に準備運動をするとよく動けるように、脳にもウォーミングアップは効果を発揮します。例えば、勉強をする前に2、3分簡単な計算問題を解く、文章を音読するといったようなことで十分です。これで1~2時間の効果があります。何かしようとする前に単純作業をすることで一度、脳を使っておくのです。このウォーミングアップで自分の能力を2割から3割上げることができます。逆に言えば、しないままだと自分の能力の2割から3割を使わないという何とももったいないことになります。
最初の計算問題や音読は速ければ速いほど有効です。これは素早く作業をして脳を働かせるためのものですから、計算や音読の内容は重要ではありません。
脳の大好物は一定のリズム
子どもたちの脳を健康に発達させるために何をすればいいのかという研究の中で、生活習慣によって脳の発達が変わってくることがわかってきました。まず、大事なのは朝ごはんをきちっと食べること。おかずを食べているかどうかで脳の発達に差が生じるというデータが出ています。さらには睡眠のリズムが規則正しいかどうかも重要です。朝起きる時間、夜寝る時間を決めて、十分な量の睡眠をとることが脳の働きをよくします。たとえ休日であっても遅くまで寝ていると一定のリズムではなくなってしまうので、脳の発達を阻害する要因になってしまいます。
私たちの心身には生活のリズムというものがあり、1サイクルが25時間にセットされていることがわかっています。日光に当たることで24時間に制御しなおされているのですが、このリズムの中で脳も体も一番働きが良いのが午前中です。この効率よく動ける時間帯を無駄にしないためにも朝食は必要不可欠です。
反対に、パソコンや携帯電話などのIT機器は脳を使わなくてすむ装置であるということがわかっています。IT機器ばかり使っていては脳の発達がうまく進みませんから、このIT社会の現代ではそれらの機器とどう付き合っていくかを考えなければならない状況になっています。
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先生情報 / 大学情報
東北大学 加齢医学研究所 教授 川島 隆太 先生
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