電力制御システムから考える未来社会のあり方

電力制御システムから考える未来社会のあり方

エネルギーとしての電気の重要性

私たちはエネルギーの多くを電気という形態で使っています。テレビ、冷蔵庫などの家電製品はもちろん、電車などの移動手段、携帯電話などの通信手段も電気をエネルギー源としています。
電気は、空気を汚すことのない、安全性が高く扱いやすいエネルギーです。また、どんなエネルギー源からも作り出すことができ、環境にも優しいエネルギーです。そのため、電気自動車やIH調理器具なども普及してきており、エネルギーのなかに電気が占める割合はますます高まることでしょう。

電力の制御が不可欠

私たちはほとんど不自由することなく電気を使っていますが、これは単に電気を起こすだけでなく、電気が流れる方向や電圧、電気の形態などを、電力変換装置を使ってコントロールし、“使える電気”にしているからです。
現在は、半導体を駆使した電力変換装置によって、とても高度な電力制御システムが実現していますが、今後の電気の役割の大きさを展望すると、次世代を支えるいっそう進化したシステムが必要になってくるものと考えられます。

次世代の電力制御システムの方向を考える

次世代の電力制御システムを考える時、「地球にとってよりよいエネルギーの使い方とは何か」ということも視野に入れて展望することが大切です。
現在はスイッチを入れれば、すぐに電気が使えます。そのせいか人は電力を使うときに、その時間が電力需要の多い時間帯なのかどうかは、あまり意識しません。例えば洗濯機に、「12時間以内に洗濯を終える」という動作モードがあり、電力需要の少ない時間帯を選んで自動的に作動する機能があれば、電力の利用が平均化していきます。私たちのライフスタイルの見直しも必要ですが、ほかの機器もこうした動作が可能になれば、一度に使われる電気の量が抑えられ、電気エネルギーの使用はもっと効率的に、もっと地球に優しいものになるのです。
ここには、電気を供給する技術の側から未来社会を開拓するという、ロマンに満ちた課題があるのです。

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千葉大学 工学部 総合工学科 電気電子工学コース 教授 佐藤 之彦 先生

千葉大学 工学部 総合工学科 電気電子工学コース 教授 佐藤 之彦 先生

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電気・電子工学

先生が目指すSDGs

メッセージ

高校生の時は、さまざまなことに関心を持ってほしいと思います。何事も「大学受験の科目にないから、自分には関係がない」などと言って、自分の関心の枠から排除するようなことはしないでほしいです。世の中のことで、自分に関係のないことなど、おそらく1つもないのですから。学校の勉強は、人類が営々と培ってきた叡智(えいち)を、とても効率的に吸収できるように集約されたものとも言えます。そこを出発点にして、自分の関心の枠を大いに広げてほしいと思います。

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千葉大学は、他大学にないユニークな学部を含む全11学部を擁する総合大学です。学際的文理融合の精神のもとに、教育研究の高度化、産官学の連携推進、国際交流の拡充を進めています。近隣には放送大学、国立歴史民族博物館などがあり、各分野で共同研究が行われています。「つねに、より高きものをめざして」の理念のもと、世界を先導する創造的な教育・研究活動を通しての社会貢献を使命とし、生命のいっそうの輝きをめざす未来志向型大学として、たゆみない挑戦を続けます。