スペイン語を母語とする人口が多い国は?
スペイン語とアメリカ合衆国
スペイン語を母語とする人は、約4億8千万人います。中国語に続いて世界で2番目に多い人数です。スペイン語圏は世界で20カ国あり、人口がいちばん多いのは1億3千万人弱のメキシコ。そして2番目に多いのは、なんとアメリカ合衆国です(上記20カ国にはもちろん入れられていませんが)。ラティーノ(在米ラテンアメリカ系住民)は、2000年の国勢調査では黒人を抜いて最大のマイノリティとなり、2019年の推計では6千万人以上に達しています。スペインやコロンビアといった“国”よりも多くの人が暮らしているのです。スペイン語は公用語にはなっていませんが、大きなコミュニティを持っているアメリカ合衆国のラティーノは、いまも増え続けています。比較的多産であること、移民で新しい人がどんどん入っていることがその要因です。
メキシコからアメリカへの移民の背景を読む
アメリカ合衆国ではメキシコ系住民の不法入国が、深刻な問題として受け止められています。ただ、メキシコの人から見ると、不法ではなく「僕らが国境を越えているのではなくて、国境が僕らの上をまたいで攻め入ってきた」と考えています。歴史的に見ると、1846~1848年のアメリカ・メキシコ戦争のときにメキシコが敗れ、カリフォルニア州やニューメキシコ州などがアメリカに割譲されました。しかしそれ以前はメキシコの領土だったという自負があります。もともとの自分たちの土地に戻るだけという意識です。
メキシコ政府もまた、国境を越えようとする人が砂漠で命を落とすことが多いので、いかにして命を落とさずに国境を越えるかというマニュアルを作っています。水を携えなければならない、川を渡るときは重い服装をしてはいけないといった細かい注意事項までを、文字の読み書きが不自由な人もいるだろうと配慮して、マンガで示しています。アメリカ側から見れば、不法入国を政府が率先して支援するかのような驚くべき内容です。もちろん物議をかもしましたが、根本的な考え方の相違なのでなかなか溝は埋まりそうにありません。
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