原始の地球に初めて降った雨は何をもたらした?
46億年前、地球は高温の原始大気に覆われていた
46億年前、太陽系ができた頃、地球にはまだ海はなく、現在とは全く異なる高温高圧の原始大気に覆われていたと考えられています。原始大気を作ったのは、地表に広がる「マグマオーシャン」と言われる高温のマグマの海です。マグマオーシャンは地球を作った物質に含まれていた水などを気化させたのです。マグマオーシャンを作った膨大な熱エネルギーはどこからやってきたのでしょう。地球ができる前、原始太陽系に漂っていた物質が重力によって集まり、原始惑星が生まれました。さらに、それらが衝突することで地球などの惑星ができたと考えられています。その際、重力エネルギーが熱となり、できたての地球はとても熱い天体でした。
やがて地球に最初の雨が降る
その後、衝突がおさまると地表は次第に冷え、マグマオーシャンの表面は岩石となります。地表の気温も下がり、上空から降り注ぐ液体の水、つまり雨が地表まで到達するようになります。では、このとき降った“地球最初の雨”はどんな雨で、何をもたらしたのでしょうか。
原始大気には、現在は海として存在している水と、石灰岩などの岩石に固定されている二酸化炭素がおよそ3対1の割合で含まれていました。その量は合わせて約350気圧に達しており、およそ350℃まで冷えて初めて液体として存在できるようになります。すなわち、“地球最初の雨”は、350℃もの温度で、二酸化炭素などを含む超高温酸性雨だったのです。
誰も見た事のない地球形成初期の様子を実験で再現
地球で最初に降った雨水は地球表面の岩石と激しく反応し、二酸化炭素や水は生成物の中に固定されます。つまり、原始地球の表面で起こった反応を知ることによって、地球初期の大気や岩石に起こった進化を明らかにすることができます。そのためには、地球最初の雨を再現し、岩石との反応によってできた物質を詳細に解析する必要があります。この研究は、地球型惑星の進化において、最も初期の段階で起こった出来事を理解する上で極めて重要です。
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熊本大学 理学部 理学科 教授 磯部 博志 先生
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