太陽のような恒星は、一体どうやってできたのか?
恒星の「もと」は宇宙に広がる暗黒星雲
夜空に輝く天の川をよく見れば、ぼんやりと黒い雲のように見えるところがあります。これが暗黒星雲です。その空間の特徴は、マイナス260度と極低温で、密度が周囲より非常に高いことです。暗黒星雲には水素などのガスや大量の塵(星間塵)があり、それが背後の星の光を吸収して、黒い雲のように見えているのです。可視光線を発していないため目では見えませんが、電波や赤外線を出しているので電波望遠鏡を使えば観測できます。その大きさは全体で数十光年ほどもあり、巨大な雲のように広がっています。この暗黒星雲が太陽などの恒星の「もと」となります。
暗黒星雲が縮んで恒星ができる
恒星は、暗黒星雲が一気に縮むことによって生まれます。その正確なメカニズムは、まだ解明されていません。ただ何かのキッカケにより、雲を構成しているガスや星間塵が縮み始めるのです。一度縮み始めると、そこには周囲より重い中心部ができます。この中心部の自分自身の重力によりさらに加速度的に中心に引き寄せられていきます。結果的に暗黒星雲は、この重力の働きで元の1億分の1ぐらいの大きさにまで収縮し原始星が生まれ、最終的には中心部で核融合を起こし始めます。これが恒星の誕生プロセスです。
恒星の周りに円盤ができ、惑星になる
恒星が水素ガスでできているのに対して、地球などの惑星は岩石でできています。この惑星も、恒星が生まれるときに作られるのです。恒星が誕生するとき、その周囲に星間塵による円盤のようなものができます。これが惑星の「もと」です。この円盤が恒星の周りを回転しているうちに、やがていくつかの塊になり、恒星を巡る惑星となるのです。暗黒星雲から原始星が生まれるまでにかかる時間は約100万年、太陽の一生は約100億年なので、宇宙スケールで考えれば恒星、惑星ともに生まれるのに必要な時間はごくわずかなものです。今、この瞬間にも、広大な宇宙のどこかで、新しい星が生まれているのです。
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