技術の進歩によって星が続々見つかる
望遠鏡がとらえた惑星の真実
天体と惑星。同じような意味で使われがちですが、「惑星」は意味が限定されるので注意が必要です。天体は、単に宇宙の中にある物体のことで、直径10m程度でも天体と呼びます。一方の惑星は、「冥王星が惑星でなくなった」と話題になったように、その定義が設けられています。
「惑星」とはそもそも“Planet”の訳語ですが、Planetはギリシア語の「動き回るもの」を語源としているので、まさしく漢字が表わしている通り「動き回る」のです。その存在は天体望遠鏡の発明以前から知られており、星座を構成する星と違い、時期によって場所が変わる点が注目されていました。
明るい惑星は肉眼でも観察できますが、現在のように太陽系の惑星が多く発見されたのはガリレオ・ガリレイが天体望遠鏡を発明したおかげです。その後、天体望遠鏡がさらなる進歩を遂げ、18世紀に天王星、19世紀に海王星、20世紀に冥王星といった地球から遠く離れた惑星の発見につながったのです。
冥王星が惑星でなくなったワケ
ところが先に述べたように、冥王星は一度惑星として華々しいデビューを飾ったにもかかわらず、2006年に惑星の定義が見直された結果、惑星とは見なされないことになってしまいました。望遠鏡の性能が上がるにつれて、冥王星付近には冥王星と似たような天体がたくさんあることがわかってきたからです。
よくよく観測してみると冥王星は惑星というには小さ過ぎます。また、軌道もほかの8個の惑星とは異なり、海王星の重力の影響を強く受けて、楕円軌道を描いています。こうした背景から惑星は、「自分の重力で丸くなっていて、太陽の周りを公転しており、軌道上のほかの天体を一掃しているもの」と定義されることになり、冥王星は惑星から外れることになりました。
かつて教科書に正解として掲載されたことでも、時が経ち、技術が進歩するにともなって新しい真実に取って代わられるのも科学の面白いところです。
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先生情報 / 大学情報
東京科学大学 理工学系(旧・東京工業大学) 理学院 地球惑星科学系 教授 中本 泰史 先生
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