ガラスの不思議を探る
結晶化していない固体
ガラスという言葉は、2種類の意味があります。一つは、一般的にコップや、瓶、窓などに使用されているガラスです。もう一つは3次元的に網目構造を持つような分子のつながりをもち、しかもその構造がルーズ(不規則)な状態でつながっていて、結晶化していない固体をガラス状態と言います。結晶とは、原子や分子が規則的な繰り返しパターンを持って配列している状態を言います。ガラスは、ケイ酸塩を主成分とするものが一般的ですが、必ずしもケイ酸塩である必要はなく、数多くのガラス質物質があります。人間の体には、リン酸カルシウムがたくさん使われているのですが、このリン酸カルシウムを高い温度でドロドロに溶かして、透明なガラスを作成することができます。大きな枠で考えれば、ガラスはセラミックスの一種と考えられます。
ガラス膜を燃料電池に使用する
燃料電池は水素と酸素から水ができるという化学反応から電気を作っているのですが、そのためには一方から水素を供給したとき、電子と水素イオンに分かれる仕組みをもつ電極と、さらに、水素イオンだけしか通さない性質を持った膜が必要になります。この水素イオンと酸素が結合して水ができ、電子の流れが電流になります。そこで、この膜の機能を満たすためには、もともとたくさんの水素イオンを蓄えていて、一方から1つ水素イオンを供給すると、反対側に水素イオンを1つ押し出すような材料があれば、この膜の機能を果たしてくれることになります。一般的には、フッ素樹脂を使用した膜を使うことが多いのですが、リン酸ガラス粉末を水と反応させるだけでも、水素イオン伝導性のゲル状物質を作ることができます。このゲルは、無機質なので熱に強く、変性しにくい膜となります。
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