電波で実現!? 夢の自動運転カー
レーダーで前の車を認識
「目的地を設定し、スイッチを押すだけで自動的に運転して運んでくれる」。そんな夢の自動車は、電波の力によって実現できると期待されています。
電波の活用法には、通信とレーダーの2種類があります。通信は相手に何かを伝えるために使いますが、レーダーは対象範囲にある物体の位置などを把握するために利用します。夢の自動運転カーは、車に積んだレーダーによって周りの車がどこを走っているかを認識し、衝突を回避しながら自動運転しようというものです。
しかし、この車の実現のためには、レーダー特有の課題を解決しなければなりません。まず、レーダーが通る空間はほかの電波も飛び交っており、空中でぶつかり干渉しあうという問題が生じます。また、前を走っている2台の車が互い接近している場合、2台を1台と認識してしまうこともあります。さらに、電波が道路の側壁にあたって反射すると、側壁を車と判断してしまうこともあるのです。
すでに発売されている、電波を発する自動車
このような課題をある程度克服し、レーダーで危険を察知してブレーキやシートベルトを制御する車がすでに発売されています。その車は、フロントグリル(放熱格子)などの中に5~9本の小型アンテナを搭載しており、ミリ波という非常に波長の短い電波を発して、前を走る車の位置や速度を正確に認識できます。このアンテナを「信号処理アレーアンテナ」と言います。
このようにレーダーの精度は確実に上がっていますが、レーダー単独で完全に周囲の状況を把握できるわけではありません。目に見える範囲であれば、画像認識技術も威力を発揮します。霧の中など視界が悪い場面は、レーダーの得意分野です。レーダーと画像認識技術が互いに補いながら、より正確に周りの状況を認識する研究が進んでいます。このような技術が進歩することによって、夢の自動運転カーが実現するのです。
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