受験勉強と睡眠のカンケイ
夜ふかしのデメリット
高校生の平均睡眠時間は、平日なら約6時間というデータが出ています。本来なら思春期のこの時期、7、8時間の睡眠時間が理想です。長時間眠ってしまうと、活動する時間が減るので、もったいないと思うかもしれませんが、眠る時間を削るとさまざまなデメリットが出てきます。
睡眠中に記憶は作られる
まず睡眠時間が少ないと、記憶の定着が悪くなります。覚えたことというのはすぐに記憶に残るのではなく、眠っている間に定着しています。これは神経のメカニズムの問題と言われています。
次に言えることは、学校の成績の低下です。睡眠時間を削って勉強した方がいいように思えますが、そうではありません。広島県の教育委員会が毎年全県下で小学生のテストを実施し、基礎学力がどれくらい定着しているかを調べているのですが、睡眠時間が8時間を切ると明らかに成績が悪くなるという結果が出ています。この理由は、眠たくて授業に集中できないことが考えられます。ゲームなど、自分にとって楽しいことなら苦にならず、徹夜をしても平気ですが、勉強のような必ずしも楽しいとは限らないことは、眠いと意欲が低下します。
深夜まで起きていると、朝の寝起きが悪く、午前中の授業でボーッとしてしまいます。昼食後に眠くなる人も多いと思いますが、これは起きている時間のちょうど真ん中にあたるため、リズム上自然に眠くなると言われています。こうなると学校できちんと目が覚めている時間が少なくなってしまい、勉強の効率も上がりません。
以前は、受験時期の睡眠時間に関する慣用句で「四当五落(よんとうごらく)」ということが言われていました。睡眠時間を削って4時間しか眠らずに勉強した人は合格するが、5時間眠ってしまった人は落ちるということです。しかし、これはウソで、しっかり寝るのが合格の秘訣です。睡眠時間を確保することが受験生にはとても大切なのです。
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広島大学 総合科学部 総合科学科 人間探究領域 教授 林 光緒 先生
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