効果的な昼寝の方法

効果的な昼寝の方法

昼寝の時間は20分以内に

昼寝は気持ちがよいものです。つい、うとうと長時間眠ってしまいそうですが、1~2時間も寝ると、完全に逆効果です。起きた後、体がだるくなります。これを「睡眠慣性」と言い、起きているのに眠い状態です。そのあとしばらくすると覚醒度が高くなり、夜に寝られなくなってしまいます。昼寝の時間は10分、多くても15分か20分までに切り上げる方がよく、電車の中でのちょっとした居眠り、「あ、ちょっと寝ていた」と感じる程度の睡眠時間が適切です。これだけでもずいぶん頭はすっきりするはずです。
ごく短時間の昼寝は体によいというデータも出ています。適切な時間の昼寝をとっている人はアルツハイマー病にかかる確率が、昼寝をしない人の6分の1というデータもあります。仮眠の分野の研究はずいぶん進み、このようにいろいろなことが明らかになっています。

睡眠不足の弊害

日本人は慢性的に睡眠不足の人が多く、休みの日にもお昼ぐらいまで寝てしまう人が多いようです。すると月曜日の朝に起きられなくなり、生活リズムがずれてしまいます。なぜなら、月曜日に体が目覚めるのは、前日の日曜日に起床した時間帯だからです。日曜日、お昼の12時に起きたとすると、翌日の月曜日も正午まで体が起きないので、憂うつな月曜日“ブルーマンデー”となってしまいます。月曜日に体調不良で、保健室を訪れる高校生が多いのはこのような理由も考えられます。
土、日にたっぷり寝たからといって、そのほかの日は睡眠不足という状況はよくありません。「寝だめ」ということができないのが人間の体なのです。また、毎日5時間しか眠らず、常に寝不足気味の人は徹夜ができません。睡眠時間は週単位などで合計するものではなく、1日ごとで見直した方がよいのです。
寝る前にいろいろなことを考えると、交感神経が高まりすぎて眠れません。眠って疲労を回復するだけでなく、寝る前にもリラックスして心と体を休めることが必要です。

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先生情報 / 大学情報

広島大学 総合科学部 総合科学科 人間探究領域 教授 林 光緒 先生

広島大学 総合科学部 総合科学科 人間探究領域 教授 林 光緒 先生

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メッセージ

私の研究室では、睡眠全般について学びます。睡眠の研究をしているところは、全国的に見ても多くはありません。医学部では主に睡眠障がいについて学ぶので、病気ではない人の睡眠のメカニズムを学べる大学は珍しいと思います。睡眠に関心をもっている企業も少なくないので、就職活動中は睡眠のことが話題になることも多いようです。心理学は、人間の心と行動について学ぶ学問ですので、他人に対する配慮ができる人とぜひ一緒に勉強したいと思います。

先生への質問

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広島大学は社会に貢献できる優れた人材を育成し、科学の進歩・発展に貢献しつつ、世界の教育・研究拠点を目指す大学です。緑豊かな252ヘクタールという広大な東広島キャンパスを抱え、また、国際平和文化都市である広島市内等のキャンパスを含め、12学部、4研究科、1研究所、大学病院並びに11もの附属学校園を有しています。 新しい知を創造しつつ、豊かな人間性を培い、絶えざる自己変革に努め、国際平和のために、地域社会、国際社会と連携して、社会に貢献できる人材の育成のために発展を続けます。