結果の反省を繰り返すフィードバック

結果の反省を繰り返すフィードバック

同じ失敗を繰り返さないために

思いどおりにものを動かすために、「制御技術」という技術があります。その代表が「フィードバック制御」という方法で、一言で言うと「反省して修正すること」です。例えば、エアコンを使って室温を制御しようとする場合、まず人間が室温を設定します。そして、エアコンはセンサを使って室温を測り、設定温度と比較します。そして、コントローラが判断してエアコンのファンのモータ回転数を決め、室温を変化させます。そして、また最初に戻って設定温度との比較から開始し、運転している間、これをずっと繰り返します。
このように、実行結果をすぐに測定し、測定した値を元に次の動作を決定することを「フィードバック制御」と言います。自動制御装置は、この実行結果に対する反省により動作し、反省は同じ失敗を繰り返さないために不可欠なものです。

自動車のサスペンションを制御する

自動車には、車体と車輪を接続する「サスペンション」と呼ばれる機構があり、「タイヤを路面に正しく接地させること」と、「路面の凹凸による衝撃を車体に伝えない」という二つの大きな役割があります。従来のサスペンションは、衝撃を吸収するためにバネなどを使うのが一般的で、「操縦安定性」と「乗り心地向上」は、相反する問題でした。衝撃を十分に吸収しようとすると、フニャフニャした感触になってしまうので安定性は悪くなり、操縦安定性のためにガチッとした感触にすると、乗り心地が損なわれてしまうのです。そこで、フィードバック技術と電子制御技術の向上により、積極的に制御する「アクティブサスペンション」という技術が登場しました。
BOSE社はスピーカー会社として有名ですが、そのホームページで自動車用サスペンションの開発成果を公表しています。その仕組みは、リニア電磁モータが路面の凸凹に合わせて瞬時に車輪を上下動作させて、衝撃を吸収するというものです。高速動作ができるリニア電磁モータと、高速制御のできるコンピュータによるフィードバック制御の恩恵です。

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名古屋工業大学 工学部 電気・機械工学科 電気・電子分野 教授 森田 良文 先生

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