運動のよい面に注目しよう

運動のよい面に注目しよう

運動の効果とは

運動をすると血流が高まったり体温が上がったりしますし、リラックス効果もあります。日常生活では、身体を動かさないでいるためにむしろ疲れることさえありますから、自分で身体を動かしてリラックスするという手段があることを知っておくとよいでしょう。例えば受験勉強をずっと続けていて疲れを感じたときには、お風呂に入るなどに加えて、少し運動してみるとかえって疲れがとれるかもしれません。
よく「運動をして脂肪を減らそう」と言われるように、運動は「エネルギー消費」だととらえられがちです。しかし、本当に大切なのは、エネルギーの消費自体ではなく、身体の中を変えられる点です。運動は、例えば血液中の脂質を減らしたり、心臓の機能を高めることにもつながります。
現代は、激しく身体を動かさなくても、生きていけるようになっています。自分で機会を見つけて身体を動かしていかないと機能が衰えてしまいます。

無酸素運動という呼び方に注意

運動を分類するときに、無酸素運動、有酸素運動という呼び方をすることがあります。「無酸素」という響きから、「無酸素運動は息を止める」と考えている人もいます。しかし、実際には、運動中に呼吸を止めたり、酸素がなくなったりするわけでありません。なぜなら、運動中も心臓は動きつづけ、体内に酸素を行き渡らせようとしているからです。「無酸素」とはエネルギーを得るための代謝活動に酸素が「使用されない」ことから来ており、体内の酸素の有無とは関係がないのです。
面白いのは、400m走を行うとき、200mくらいまでは意識して息をしているように指導されていることがあります。また、競泳でも息を吐く指導をします。二酸化炭素が体内に増えてくると息が苦しく、きつい感じがしてくるため、意識的に吐くという指導が行われるのです。
ちなみに、東洋の呼吸法では少し吸って長く吐くことが強調されます。息を吐くことはリラックス効果と関係していますし、呼吸の本質は吸うことよりも、吐くことにあるのかもしれません。

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先生情報 / 大学情報

東京大学 大学院総合文化研究科 身体運動科学研究室 教授 八田 秀雄 先生

東京大学 大学院総合文化研究科 身体運動科学研究室 教授 八田 秀雄 先生

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メッセージ

持久走大会などを思い浮かべて「走ることは苦しいもの」と思い込んでいませんか。無理せずゆっくり走り、それによって身体の中を変える、機能をよくすると考えれば、走ることは楽しくなります。
身体運動科学を学びたい人には、体育系の学部や学科に進むのはもちろん1つのよい方法ですが、大学に入学して最初の4年間で生物学などの基礎を学び、大学院に入ってからより専門的に学ぶという方法を紹介したいと思います。身体運動科学は学問としては応用分野ですから、理系分野の基礎学問を先に学んでおくと理解が深まります。

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東京大学は、学界の代表的権威を集めた教授陣、多彩をきわめる学部・学科等組織、充実した諸施設、世界的業績などを誇っています。10学部、15の大学院研究科等、11の附置研究所、10の全学センター等で構成されています。「自ら原理に立ち戻って考える力」、「忍耐強く考え続ける力」、「自ら新しい発想を生み出す力」の3つの基礎力を鍛え、「知のプロフェッショナル」が育つ場でありたいと決意しています。