光を浴びて、リズムを調整している
中高生に多い睡眠覚醒リズム障がい
人間には体内時計と呼ばれる機能があって、昼夜の体のリズムをとっています。誰でも寝る時間が遅くなってしまって朝に起きられないことがあります。たいていの人はリズムを自然に修復して普段の生活に戻ることができます。しかし、睡眠の時間がずれたままで固定してしまう人がいます。これが「睡眠覚醒リズム障がい」です。中高生あたりから始まることが多くなっています。明け方ごろになってようやく寝て、昼ごろに起きる人がいます。朝起きられないと、学校へも行けないので不登校になってしまったりします。そのまま放っておくと大人になって仕事もできなくなり、正常な生活をしづらくなります。かつては性格の問題だと言われていましたが、これも病気のひとつです。
脳の血流が悪くなると、崩れるリズム
脳の視床下部にある光を感じやすい部位が、体内時計の働きをしていて、体のリズムを発生させています。例えば、光の当たらない穴ぐら生活をしたら、睡眠時間がだんだん後ろにずれてきて、そのうち寝たり起きたりの周期性が失われます。しかし、太陽光線を浴びる生活に戻ると、20~30時間ぐらいで回復します。朝の光を感じることで体のリズムを生み出しているのです。睡眠覚醒リズム障がいの人の脳を調べると、血流の働きが健常な人よりも落ちています。高齢者でもなく、まだ若い10代の人で脳の血流が鈍ることは非常に珍しいことです。つまり光に同調する働きが落ちているのです。
リズムが崩れかかった段階では回復しやすいのですが、すっかり崩れてしまうと、しっかり光を浴びなければ回復が難しくなります。このような病気になった場合は、回復を早める効果があるビタミンB12を摂取するとともに、早朝の2時間ぐらい光を充分に浴びる光療法を受けます。3000ルクスぐらいの強い光を浴びて、リズムを修正していきます。夜間だけの仕事をしている人でなければ、このような治療を受けて正常なリズムで生活していく必要があります。
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