人間の根本の部分でぶつかり合う国際協力の場でのコミュニケーション

人間の根本の部分でぶつかり合う国際協力の場でのコミュニケーション

「さらに進むか、手を引くか」瀬戸際での交渉

言葉も文化も異なる人たちと対等に付き合っていくためには、いろいろな壁を乗り越えていかねばなりません。国際協力のように人に喜んでもらえると思われる活動でも、現場では、その国の将来やその人の人生がかかっている場合など、互いの考え方の違いや利害で、厳しい問題にぶちあたることも結構あります。国の政策をどうするかなどという話で対話が決裂したり、喧嘩のような激しい議論の応酬だってあります。さらに進むか、手を引くか、そんなギリギリの段階になった時、どうやってコミュニケーションをとっていくべきなのでしょうか。

ギリギリのぶつかり合いから生まれる信頼感

最終的には、「この国をなんとか良くしたい、助けたい、一緒に歩もう」という真摯で熱い気持ちで説得するしかありません。この気持ちが伝われば、「わかった。そこまで言うのなら、あなたを信用してみよう」と、最後のところでなんとかわかり合える部分が出てきます。逆に、こちらの腰が引けていると、相手はその点をガンガン突いてきます。人間と人間の根本部分でのぶつかり合いです。多くの人が、より幸せになれる社会を築くという共通の目的に向かって、ギリギリの部分ですり合わせていくのです。

世界の4分の3を占める開発途上国と共に歩む

日本は、グローバル化・国際化が進んでいるように見えますが、まだまだ意識的には内向きです。今、世界の国々の4分の3は開発途上国です。国内事情をいつも最優先にしたり、先進国側ばかりを向いてこれらの国を単に貧しい国、可哀想な国と上から目線では、うまくコミュニケーションをとることはできないし、これからの国際社会を生き残れないでしょう。手を携えて、共に歩もうという気持ちが何より大切なのです。今後は、先進国政府が途上国を助ける協力だけでなく、私たち市民が海外のいろいろな市民や市民グループ、あるいは一般の企業と一緒になって途上国を支援することが盛んになるでしょうから、一層コミュニケーションの重要性は高まるでしょう。

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先生情報 / 大学情報

国際教養大学 国際教養学部 基盤教育 社会科学 教授 森園 浩一 先生

国際教養大学 国際教養学部 基盤教育 社会科学 教授 森園 浩一 先生

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メッセージ

今、世界の国々の4分の3は開発途上国です。今後は、これらのアジアやアフリカなどの国や人々とうまく付き合うことがますます重要になります。また、日本にはそれをリードする役割が強く求められています。国際社会では、日本人はニコニコしているか黙っているかで何を考えているかよくわからない、といったことをよく聞きます。それほど、まだキチンと対応がとれておらず、国際的な立場はまだ弱いということです。若い人には、日本の立場をしっかりと理解した上で、これからどんどん国際社会に出ていき、大いに活躍してほしいと思います。

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