エイズの予防のための活動
エイズは発症を抑えられる ただし……
日本ではまだあまり知られていませんが、90年代後半に治療薬が開発され、エイズ(AIDS・後天性免疫不全症候群)は発症を抑えられるようになりました。薬を飲めば寿命を全うできる可能性も高くなりました。しかし、毎日、同じ時間に飲まないといけません。月に数回でも忘れると、効果が落ちてしまいます。また、薬代も非常に高価です。そのためアフリカなどでは薬が届きにくかったのですが、最近ようやく感染者の約20%に届くようになりました。
エイズの薬が高額なのは、薬の開発費が非常に高いためです。高額な薬代のため、エイズでいまだに亡くなる人が多いのが実態です。
もう一つ、感染が拡大し、エイズで亡くなる人が多い原因に、無知と疾病に対するイメージがあります。もしHIVに感染していることが知られると、差別を受けると思っている人が多くいます。病気に差別のイメージがあると、その人は検査に行きません。
日本の現状と対策 地域看護としての活動
できるだけ多くの人が検査を受ければ、それだけ多くの人の予防と治療につながります。しかし、日本でも、エイズに対して差別や恐怖のイメージを持つ人が多くHIV感染者が表に出てくることは多くありません。そうした検査や予防の情報が届きにくい人たちに光を当てる方法の一つとして地域看護があります。集団の健康を守ることを目的とする看護領域です。エイズを予防するために、最も予防の情報が必要となる当事者の人たちと一緒に活動をしています。そうすると本当の問題点が見えてくるようになります。現在、厚生労働省の研究班では、当事者自身でつくるNGOと連携して、生きた情報を収集して予防に役立てています。
日本では毎年1,000人を超す感染者が報告されています。早く治療を受けることができれば、つきあっていくことが可能な病気であるだけに、早期の検査と受診を勧めることが急務となっています。
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先生情報 / 大学情報
名古屋市立大学 看護学部 国際保健看護学 准教授 金子 典代 先生
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