医療専門職と患者をつなぐ「医療情報」
医療情報の共有
現代の医療は、医師の診療にとどまらず、検査や看護、リハビリテーションなど、多様な領域によって支えられています。かかわる職業も医師、薬剤師、看護師、助産師、保健師、診療放射線技師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、栄養士などなど、さまざまです。そんな多種多様な医療領域をつなぐのが「医療情報」です。患者の情報はもちろん、地域の医療環境の整備についても、必要に応じて医療情報を共有する必要があります。
現場で得た情報を体系化する
医療情報の研究では、オントロジーを活用した情報の一元化が大きなテーマと言えます。コンピュータ科学におけるオントロジーとは、人間が把握している物事の関係性を、コンピュータにも理解できる枠組みで記述することを意味します。医療情報の分野では、電子カルテや検査手順の分析、類似症例などの情報を集約し、有機的に関係づけることになります。医療の現場で蓄積された知識を体系化することで、医療ミスの防止や教育への応用などに役立てられるのではないかと研究が進められています。
ITを使い、地域に「保健室」を
また、現在、北海道の各地域のドラッグストア(薬局)に証明写真撮影のブースのような設備を置き、そのブースと看護師など医療専門職をネットワークで結ぶ、テレビ面談による遠隔健康相談を実験的に行っています。これは、ブース内に設置されたカメラとモニターを使い、メタボ予防や血圧相談なら保健師、育児相談であれば助産師、介護についてはケアマネージャからアドバイスをもらうシステムです。これならば、買い物ついでに薬局のブースへ立ち寄るだけで、健康相談や介護相談を受けられます。いわば、ITを利用した「保健室」のようなもので、医療行為は行いませんが、住民の自主的な健康管理を可能にします。その実用化に向けて、どの程度の料金なら利用しやすいかなど、調査・分析が進められているところです。
「医療情報」を上手に活用して、医療にとっての課題を克服していくことが求められているのです。
参考資料
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