地球内部の秘密を探れ! ~地球化学の最新研究~
未知の部分が多い地球の内部
地球の内部はどうなっているのでしょうか? それを知るためには、地下の岩石試料を採取する必要があります。人類はすでに月に到達していて、小惑星探査機「はやぶさ」は地球から約3億km離れた「イトカワ」の試料を採取しています。しかし、地球内部に対しては、最も深いところで地下約12kmの試料を採取できている程度です。地球内部の構造は、中心部に金属でできている核があり、その外側に岩石でできたマントル、さらに地殻があると言われていますが、実際に確認しているわけではなく、地震波の速度などから組成を推測しているにすぎません。
マントルの岩石を採取する方法
人類はマントルに到達していませんが、マントルの岩石を採取することは可能です。火山が噴火するときに、マントルを構成する岩石である「かんらん岩」を地上に噴出することがあるからです。また、地殻にある岩盤(プレート)が衝突したときに、沈み込めずにせり上がる岩盤があります。このとき下にあるマントルの一部も一緒にせり上がります。この部分を「オフィオライト」と言いますが、ここからも岩石試料を採取できます。このような場所は世界各地にあり、オフィオライトを掘削して、マントルの試料を採取するプロジェクトも進んでいます。
地球内部構造の変遷を明らかにするには?
マントルのかんらん岩は、地殻にある花崗岩や安山岩などに比べ地球の中心部に近いため、重い元素でできていることがわかっています。では、どのようにして現在の状態になったのでしょうか?
実は、地球の層構造がいつ完成したかなど地球内部の変遷についてはまだほとんどわかっていません。マントルができた際の組成に、その後何が混ざっているのか、そしてどのように循環しているのかは、含まれる重金属元素の同位体比やさまざまな元素組成などを測定することで明らかになると期待されています。このような化学分析の積み重ねと地球が物理的にいかに作られたかという知識を総合することで、地球内部の秘密が明らかになってくるのです。
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先生情報 / 大学情報
九州大学 共創学部 共創学科 准教授 仙田 量子 先生
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