風力発電機の開発は自然の風を調べることで進歩する
自然の風の性質をつかむ
自然エネルギーによって発電する場合、太陽光発電に適さない晴天率の低い地域や風の強い場所では、小型の風力発電機が有効だと考えられます。小型風力発電機の開発を進めるときは、自然の風がどのように変化するのかをつかんで、変化に対する風車の応答を調べることが不可欠です。平均風速や風の乱れ方をつかむことも必要ですが、どのような風速の変化があり、そのパターンがどれくらいの割合で発生するのかを探ることも重要になります。
風が吹くときとおさまるときの変化の違い
自然の風は複雑に変化しています。そこで自然の風の変化のパターンを見つけ、そのパターンがどれくらいの頻度で発生するかを調べて、自然の風の性質を明らかにする研究が行われています。
これまでの研究で、風の吹き始めからトップスピードになるまでの時間と、それがおさまるまでの時間では、風が吹くときよりもおさまるときのほうがゆるやかな変化になり、時間が長くかかることがわかりました。
このような結果を踏まえ、日本の風に適した風車、すなわち弱い風や不安定な風の状態でも効率よく安全に発電できる風車の開発が進められています。
エネルギーの需要・供給のバランスを考える仕組み
地球規模の環境問題を解決するための手段として、風力発電、太陽光発電、水力発電、波力発電、バイオマスなど自然エネルギーに期待が寄せられていますが、その多くは自然環境の変化に左右されるため、発電量が安定しないことが欠点です。そこで近年では、「スマートグリッド(次世代電力網)」に注目が集まっています。スマートグリッドとは、IT技術を活用して電力の需要と供給を最適な状態にする仕組みのことを言います。いろいろな自然エネルギーを組み合わせて、じゅうぶんある地域から、足りない地域に送るのです。
低炭素社会の実現に向けて、効率よく安全に使用できる発電機の普及と、エネルギーをうまく制御するためのネットワークの構築が求められていると言えるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
鳥取大学 工学部 機械物理系学科 教授 原 豊 先生
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