再生可能エネルギー事業で地域経済を活性化 エネルギー自治の実現!
原子力から再生可能エネルギーへ
東日本大震災による福島原発事故は、世界のエネルギー情勢に大きな変化をもたらしました。安全で低コストだと言われてきた原子力発電は、危険でコストも高いということがわかってきたのです。以前から欧米では、原子力から風力、太陽光などの再生可能エネルギーにシフトする国が増えていましたが、ドイツなどではそれを加速させることになりました。日本でも再生可能エネルギーにシフトする動きが出てきましたが、その割合はまだ低く、2014年度で3.5%(水力除く)です。
再生可能エネルギーは高いか安いか?
日本で再生可能エネルギーへのシフトが進まない理由として、「発電コストが高い」と言われます。しかし、世界的に再生可能エネルギーの導入が進んでいることもあり、そのコストはどんどん下がっています。太陽光パネルの価格は10年前に比べ4分の1程度に下がりました。
現在、日本で主力の火力発電は、為替レートや原油価格に左右されますし、燃料を輸入に頼っている以上、世界情勢によっては発電できなくなる可能性もあります。一方、再生可能エネルギーは燃料費がゼロですし、海外リスク、さらには事故のリスクも少ないのです。ドイツの場合、再生可能エネルギーは初期投資にお金がかかっても、コスト面も含めて持続可能であるということが共通の認識になっています。
地産地消の発電所で地域経済も活性化する
再生可能エネルギーは、その土地にあった事業展開をすることがポイントです。風が強い場所なら風力、温泉なら地熱、山間部なら木質バイオマスといった具合です。だからこそ、地域住民や自治体の関与が不可欠です。実際、長野県飯田市は独自の条例を制定し、公共施設の屋根を地域企業に貸し、太陽光発電を振興しています。山形県では県が35%出資し、地域企業と電力小売り会社を立ち上げました。このように地域主導でエネルギー事業を展開すると、地域に雇用が生まれ、お金が循環します。再生可能エネルギーは、地域経済の活性化を通して地域の自立に貢献するのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
都留文科大学 教養学部 地域社会学科 教授 高橋 洋 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
地方自治論、公共政策論先生への質問
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?