音楽もテレビも身の回りは著作権のオンパレード!
法律は時代に合わせて少しずつ変化している
時代が移り変わると、法律はできた当時のままでは対応できなくなります。だから、技術の進歩や人々の考え方によって、毎年少しずつ改正されているのです。法律と言うと難しいイメージがあるかもしれませんが、私たちの生活にとても密接に関係しています。
「着うた」はかかわった人みんなにお金が入る
知的財産権の範疇(はんちゅう)に「著作権」と「著作隣接権」という権利があります。著作権とは、音楽や絵、写真、コンピュータプログラムなどをつくった人に認められる、創作物を利用する権利です。著作隣接権は、作品を直接つくった人ではありませんが、世の中に広めるために重要な役割を果たしている人に発生する報酬請求権です。例えば音楽では、作詞家・作曲家に著作権があり、歌手・演奏家・レコード製作者などに著作隣接権があります。
携帯の着信音に好きな音楽を使っている人もいることでしょう。最近は「着うた」、その前は「着メロ」が主流でした。着メロは作曲家に著作権、演奏家に著作隣接権が発生して、作曲家と演奏家にだけ報酬が入りました。これが着うたになると、作詞家や歌手、レコード製作者にも報酬が入ります。
昔のドラマは名作でも再放送が難しい
テレビ番組の場合、番組が再放送されると出演した人には著作隣接権で報酬が入ります。この著作隣接権については、昔はきちんとした契約があまりなされていませんでした。例えばエキストラで出演した通行人Aにも著作隣接権が発生しますが、古い番組だと探し出して許諾をとるのは至難の業(わざ)です。しかし、出演者全員の許諾を得なければ放送はできません。したがって古い番組は、たとえ名作と呼ばれるドラマであっても再放送やDVD化されるものが少ないのです。
近年は番組をつくる前に、著作隣接権のある人と、再放送やDVD販売の契約を交わしています。最近の番組が繰り返し放送できるのはそのためです。
このようにあなたの身近にある音楽やテレビ番組にも、法律は深くかかわっているのです。
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先生情報 / 大学情報
桃山学院大学 法学部 法律学科 教授 馬場 巌 先生
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