人類の未来に影響を与える、光有機材料の開発に取り組む
光有機材料を使った新しい太陽電池
光を使った新しいエネルギーとして、太陽電池が注目されています。これまで、その素材は結晶シリコンが主流でした。色が黒く硬いこの素材は、砂(ケイ素)から作るため、製造に際して大量のエネルギーを必要とします。
しかし、光を照射すると化学反応が起きる光有機材料を利用すれば、まったく新しいタイプの太陽電池を、低エネルギーで作ることができます。また、これが実用化されれば、薄く柔らかい材料の中に組み込め、さらには色も黒のみでなく、さまざまな色で太陽電池を作ることができるようになり、デザイン性が向上し、建物にマッチした太陽光パネルの開発も期待できます。
自然現象を応用して光有機材料を開発
こうした光有機材料の形成に役立つのが、「ディウェッティング現象」を応用した技術です。これは液体が蒸発する際、容器にしま模様やしずく模様がミクロンサイズ(1ミリメートルの1000分の1)で残る現象のことです。グラスの内側に乾いて残った、しずくの跡を思い浮かべてください。
この自然現象を応用した技術で、ミクロンレベルでの分子配列の制御を容易にすることに成功しました。そして、環境に優しい有機発光ダイオードや太陽電池を作ろうという研究が進められています。
有機発光ダイオードの幅広い可能性
有機発光ダイオードを使った薄膜技術は、薄型テレビの次世代技術として注目を集めています。有機発光ダイオードはそれ自体が光るため、従来の液晶ディスプレイで使われているバックライトが必要ありません。そのため、限りなく薄くすることができ、軟らかいプラスチックの上に貼れば、丸めて持ち運ぶことも可能になります。現在SONYなどの日本のメーカーでは実用化に向けた研究開発が行われています。
このように、光有機材料の開発は、我々の未来に大きな影響を与える可能性を秘めています。
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公立千歳科学技術大学 理工学部 応用化学生物学科 教授 オラフ カートハウス 先生
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