「花粉」が材料に?! プラスチックの代用品を作ろう

「花粉」が材料に?! プラスチックの代用品を作ろう

世界はプラスチックであふれている

海や河川など、自然界に増えた「マイクロプラスチック」が問題になっています。ゴミのポイ捨てが原因だとイメージする人も多いかもしれませんが、世の中はプラスチックで作られた製品であふれていて、塗料やペンキにすら含まれています。なので、ビルの外壁やガードレール、道路の白線などが太陽光と雨水にさらされて劣化すれば、ゴミと同様にマイクロプラスチックを放出します。したがってマイクロプラスチックを減らすには、プラスチックに代わる材料が必要なのです。

花粉は優れた原材料!

原材料の候補とされているのが、天然由来の高分子です。例えば木や植物に含まれるセルロースや昆布のアルギン酸、カニの甲羅から採れるキチンはすでに医療分野で使われています。また、実は花粉も光や熱に強く水に溶けにくい優れた材料なのです。同一種であれば均一性も高く、オリーブのように大量に得られる種もあります。心配される花粉症に関しては、アレルギーの原因となるタンパク質を取り除けば問題ありません。作り方も簡単で、粉末状になった天然高分子を固め、高温で熱する程度です。強度としてはプラスチックとほぼ同程度で、塗料やペンキに使う場合、発色や色の定着性も変わらないものを作ることができます。

ビニール袋を作るのは難しい!

課題は、強度を保ったまま薄くすることです。ビニール袋のように薄く強いものを作るのは難しく、高分子の結合をより高める必要があります。高分子はゆでたパスタのようなものです。麺同士をホチキスなどで無理につなぐのではなく、天然の成分で自然に接着するのが理想です。
ただし、コストを考えるとすべてのプラスチックを置き換えることは不可能に近いため、リサイクルも並行することが必要です。例えばペットボトルはリサイクルに適しており、繊維状にすればマスクや白衣も作ることができます。世の中からプラスチックをなくすことは難しいですが、多角的に取り組んでいくことで環境へのダメージを減らすことはできるのです。

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先生情報 / 大学情報

公立千歳科学技術大学 理工学部 応用化学生物学科 教授 オラフ カートハウス 先生

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高分子科学

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メッセージ

高校生も立派な社会の一員です。地域のサークルやボランティア活動などを通して、世の中の問題に直接携わり、手伝うことができます。そして、一番大事なのは興味を持ったことにトライする姿勢です。
世の中には意外なものがあり、特に自然界にはまだまだ多くの可能性が眠っています。環境や温暖化など、世界にある問題はとても大きく、解決できないように感じますが、解決法は必ず見つかるはずです。未来は暗いものだと、悲観的な考えにとらわれないでください。

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公立大学へ移行した本学は「科技大」と呼ばれ、緑に囲まれた雄大なキャンパスに応用化学生物学科、電子光工学科、情報システム工学科の理工学部3学科の学生たちが学んでいます。理工学部では理工学を9つの領域に分類し、1年次に9つの分野を幅広く学び基礎を身につけて、2年次から選択した学科で専門的に学修するというように、より高度な学びへと進む着実なカリキュラムを組んでいます。ですから、エンジニアとしての即戦力が強みとなり、就職に強い大学としても一定の評価を受けております。