防災教育は「命の教育」 子どもたちと地域の未来を守る

自分の命、みんなの命を大切に
小学校での防災教育は、人権教育と並ぶ「命の教育」です。子どもたち自身が自分の命を守るための知識と技能を身につけるのと同時に、周りの人たちの命も大切にする心を育てるのです。そのためには、まず防災を「自分事」としてとらえることが必要です。自分の住む地域でどんな災害が起こり得るのか、過去にどんな災害があったのかを調べて、それに対してどう備えるかを考えます。その体験を家庭で話すことが家族の命を助けることにもつながります。
教科を越えて広がる防災学習
防災教育は、例えば算数の授業で「体育館に何世帯避難できるか」を面積と割合で計算したり、図工で避難所の場所を知らせるポスターを作成したりするなど、どの教科にも取り入れられます。音楽では復興の歌を歌い継ぐ活動もあります。こうした多様な教科を通じて、子どもたちは命の大切さや助け合いの心を学び、防災意識を高めていきます。学校全体で取り組めるのが、防災教育の大きな特徴です。
地域とつながり、記憶を未来へ
真のライフラインはガスでも水道でもなく、「人と人とのつながり」です。防災においては、地域の人とのつながりが命を守る要です。地域の人たちと子どもたちの絆を生み、強くすることも防災教育の役割です。例えば、学校と地域が連携して、避難訓練に地域の防災担当者を招いて評価してもらう取り組みがあります。登下校時に地域の人に見守ってもらうことも、防災教育の一環ととらえられます。子どもは「この人は私を助けてくれる人」と認識し、地域の人は「この子は小学校の子どもだ」と把握するといった、日々の積み重ねが絆を強くして、非常時の助けとなるのです。
大きな災害が起こっても、時がたてば直接体験を語れる人は減っていきます。その教訓をどう次世代に伝えるかが大きな課題となっています。防災教育はこの伝承の役割も担い、子どもたちが次の語り部となって命の大切さを伝えていくための取り組みも重要になってきているのです。
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