生物多様性を守るための、企業の責任とは

生物多様性を守るための、企業の責任とは

生物多様性に対する企業の責任

現代の生活は、自然が遠い存在になっています。しかし、世界的に自然界のさまざまな動植物が乱獲されたり、それらの生息地域が人間の活動によって狭められたりしているため、多くの種の存続が危うくなっています。
自然はあらゆる種が共存することで成り立っています。人間の生活は、自然の恵みなしには存続できません。それにもかかわらず、人間は自然を利用しつくそうとする欲望をコントロールできないため、このような事態が生じているのです。
これを変えるために大きな役割を担うのは企業です。なぜならば、企業は自然から原材料を得て物を生産することで、自然に対し大きな影響を与えていますが、自然がなくなれば企業活動も存続しえないからです。これからは、企業が自然の保護に取り組まなければならないと考えられています。

自然を再生する企業の努力

すでに、先進的な企業はこの取り組みを始めています。アメリカの大手スーパーであるウォルマートは、自社施設の敷地面積と同じだけの土地の自然を保護しています。また、リオ・ティントという鉱山会社は近隣の自然の再生や保護を行い、閉山後は跡地の自然を再生することで、自然が全体として減らないようにしています。
企業は目先の利益を考えがちですが、いくつかの先進的な企業は、自然が持続しないと社会も企業も成り立たないということに気づき始めているのです。

自然再生をビジネスに

アメリカでは、特に多様な生物が生息している湿地などを開発する場合は、その代償として別の地域で同様な湿地を再生・保全することが法律で義務化されています。これによって、開発により、湿地が全体として減らないようになっています。そのため、湿地を再生し、保全することが一つのビジネスとして成り立っています。
しかし、日本ではまだこのような規制は導入されていません。絶滅危惧種が増えている日本でも、企業がビジネスとして自然を保護できるような制度の導入を考えるべきではないでしょうか。

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跡見学園女子大学 マネジメント学部 生活環境マネジメント学科 教授 宮崎 正浩 先生

跡見学園女子大学 マネジメント学部 生活環境マネジメント学科 教授 宮崎 正浩 先生

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環境政策学、環境経営学

メッセージ

学問で環境問題に取り組むには、いろいろなアプローチがあります。生物そのものを研究する生物学や農学などの理系の学問だけでなく、経営、法律や経済などの文系の学問から環境問題を学ぶこともできます。しかし、重要なことは、自然環境の価値を理解し、その保護の方法を考えることだと思います。
特に、都会に住んでいると自然は離れたものに感じてしまい、都会の生活も自然なしには成り立たないことを忘れがちになります。皆さんも、自然を身近に感じる経験をして、人間と自然とのつながりについて考えてみてください。

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跡見学園女子大学では、1875(明治8)年の「跡見学校」開校以来、社会に柔軟に対応できる自立した女性を育成しています。この伝統を背景に、学生一人ひとりが4年間を通して、自分らしい生き方を見つけ、社会に出てからも自分の人生をデザインするための「ライフデザイン教育」を推進しています。その拠点になるのが2つのキャンパス。1・2年次は緑豊かな新座キャンパスでじっくり学び、3年次からは都心の文京キャンパスで学修。社会と関わりを持ちながら成長していくことができます。