先生を支えて子どもをケアする 「コンサルテーション」

児童だけでなく先生も悩む
例えば、ある児童が授業中に立ち歩いたり、問題行動を起こしたりします。先生が関わっても、その行動が繰り返し続くと、先生としてもどう関わってよいか迷ってしまいます。
その時、心理士(スクールカウンセラー)は児童だけでなく、先生への支援も行っていきます。先生から話を聞いたり、実際に児童の様子を見ながら、問題の状況について情報を集めていきます。その後、心理士と先生との「作戦会議」が行われ、問題の理由を探ったり支援について考えていきます。例えば、集めた情報を基に先生と話し合った結果、「立ち歩いて他の児童のところに行っているのは、先生から指示された課題ができないからかもしれない」など、問題の仮説を立て、その解決策を探っていきます。このように、先生と異なる専門家(心理士)が、学校で間接的に支援することを「学校コンサルテーション」とよびます。
支援をきっかけに先生の専門性も向上
学校コンサルテーションを過去に経験した先生たちを対象とした研究も行われています。心理士との関わりの中で生じた自分の変化を振り返ってもらった結果、問題解決の手がかりがつかめたといった回答以外にも、先生自身の専門性が向上したという変化も見られました。
先生たちが心理士との分析を基に試行錯誤する中で、児童への関わりの工夫が増えたり、支援への自信が高まりました。その結果、支援を受けた児童生徒の成長だけでなく、先生自身が「自分らしく先生の仕事ができるようになった」という声もあがっています。
ケアする人をケアする
最初は先生も「何がなんだかわからない状況」でしたが、心理士と連携して支援を進めていくうちに、問題をどう理解するかが少しずつ見えてきます。そうなると、当初の
問題がこれまでとは違った見え方になってきたり、実際の問題に対して先生なりに取り組んでいけるようになります。
先生のピンチをチャンスにするための役割を心理士が担い、先生一人ではできない支援を一緒に実現するのが、この「学校コンサルテーション」です。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
