講義No.15181 教育 児童学

データサイエンスを通して子どもたちの「統計的思考力」を養う

データサイエンスを通して子どもたちの「統計的思考力」を養う

あらゆる分野で活用されている「データ」

デジタル化により、膨大なデータがさまざまな分野で活用される時代です。そこで必要になるのがデータサイエンスの知識やスキルです。数学や統計学、情報工学やビジネスなどの理論を使ってデータを分析し、有益な情報や結論を導き出す、つまりデータを「読み」「生かす」のがデータサイエンスです。IT業界はもちろん、広告業界やアパレルや飲食、旅行会社などのサービス業や各種企業でのマーケティングなど、あらゆる分野でデータサイエンスは活用されています。

データサイエンスのベースは統計学

データサイエンスの知識やスキルは、子どもの頃から養うのが重要です。データサイエンスのベースは統計学です。分数や統計、確率などの数理的な概念を、どうとらえているのかを「数理認識」と呼びます。現在、この数理認識の観点から、子どもたちの「統計的思考力」を養う統計教育について研究が行われています。
統計的思考力には、「統計的批判的思考」と「適切なグラフを選択する判断力」が含まれています。同じデータを基に作った棒グラフがあるとして、目盛りの数値が10単位か100単位かでは見えてくる結果は違います。また、伝えたい内容やデータによって、グラフの種類や見せ方も変わってきます。このようにデータの見せ方やまとめ方は適切なのかと提示されたデータに対して疑問を持ったり、どのようにデータやグラフを選択するのかを考えることが重要です。これらのカラクリに気づくことが、児童教育における統計的思考力育成の第一歩です。

児童教育学にもデータサイエンス

児童教育学において、数理認識の観点を基にして授業方法を考え、データサイエンスの素養を育てることは、今現在の生活をより良くすることであり、将来的に社会に出て役立つ知識や考え方にもつながっていきます。直接的に高度な数学(統計学)を使わなくても、企業や社会生活の中で、データを見て活用する機会は多く、いまやデータサイエンスは、社会を生きるための必須スキルといえます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

福山市立大学 教育学部 児童教育学科 准教授 太田 直樹 先生

福山市立大学教育学部 児童教育学科 准教授太田 直樹 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

児童教育、数学教育学

先生が目指すSDGs

メッセージ

教育者をめざす人へアドバイスするとしたら、まず教育学部はいろいろな大学にあるけれど、実はそれぞれに個性があることを知ってほしいです。教育学に興味を持ったら、自分が直接子どもたちを教育することに興味があるのか、子どもたちの心理を分析したいのかなど、どこを学びたいのかを考えてみてください。同じ数学教育を教えていても興味が異なるので個性があります。自分が特に学びたいことに近い大学や先生を探すことが、将来への道を開きます。偏差値だけでなく「何を学びたいのか」という観点を大切にしてください。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

福山市立大学に関心を持ったあなたは

福山市立大学は、福山市が設置する公立大学、4学期制による効果的な履修、4年間を通じた少人数参加型授業や、街と一体となったキャンパスを拠点に、福山市全体をフィールドとした体験型授業の充実が特色です。公立大学の特色を生かし、教育学部では地域の教育・保育施設との連携により実践力のある教育者・保育者を目指します。都市経営学部は全国初の学際的な学部で、環境を基盤として工学系、経済学系、社会学系の3つの領域を総合的に学び、持続的な都市社会の発展を担える人材を育成します。