文化の違いを理解して外国語をマスターする
スタンダーズの5Cを達成するために
米国の日本語教育界には、ナショナル・スタンダーズ(National Standards、以下、NS)という学習基準があります。外国語を習得する際の目標や理念のようなものですが、その基準を十分に満たす方法の一つとして、「紛争(トラブル)解決」のための日本語が注目されています。
ここで指摘したNSの目標には次の5つがあります。英語の頭文字をとって「5C」と呼ばれています。
(1) Communication/言語伝達・意思疎通
(2) Culture/文化
(3) Connection/連携
(4) Comparison/比較対照
(5) Community/地域社会・グローバル社会
まず1つめのCは、英語以外の言語で意思を伝えることです。2番目のCは、ほかの地域の文化の知識を吸収し、理解すること。3番目は、ほかの教科との関係を持ち、情報をつかむこと。4つめは言語と文化の性質に関する理解を深めること。そして最後のCは、国内外の多言語コミュニティーに参加することです。
文化的価値観の違いからの言語習得論
これら5つの目標を達成するために、具体的にどうすればいいのか? どこに視点を置いたらいいのか? ということで考え出されたのが、「文化」に着目することだったのです。そして、文化を見る時に一番見やすい機会というのが、文化的な価値観がクラッシュ(衝突)したような時です。そんな時こそお互いの価値観の違いがはっきりと出てきます。この点に注目した考え方が「紛争解決」のための日本語だったのです。
こうしたピンチの時にどうやったらうまくコミュニケーションが取れるか? 解決に導くことができるのか? それを身につけることで、学習者は日本の文化や日本人の考え方を理解することができます。深いところで、日本語を習得することができるというわけです。
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