農業におけるコンピュータ技術について
いまや農業もコンピュータの時代
農業と言うと、農家の人が自分の身体を使って作っているイメージがあるかもしれませんが、今や多くがコンピュータで管理されています。温室や機械も、人間がいちいち設定しなくても、機械が自動的に判断し、中には無人で動くようになっているものもあります。収穫した後の流通面でも、どの地域でどれだけの収穫量があって、どれぐらいの値段で売れて、どこに流れていくかということがデータベース化されており、簡単に調べられます。こうした技術は、私たち消費者の立場でも使われており、例えばスーパーで売られている野菜のQRコードから生産地や生産者を瞬時に確認することができます。
リモートセンシングとは
最近では、「リモートセンシング」と呼ばれる技術が注目されています。通常作物を栽培する場合、面積によってどれだけの種子と肥料が必要で、どれぐらいの量を収穫できるかをある程度計算できます。しかし、実際は、同じ圃場(ほじょう:農地)であっても、同じ種子と肥料を入れるだけでは同じ収穫量が取れない場合もあります。そこでラジコンヘリを飛ばし、上空から画像を撮影します。生育状況により色分けされたデータが得られるので、GPS(全地球測位システム)データと組み合わせることにより、生育状況が悪いとわかった場所には肥料を多く撒くという農作業もコンピュータ制御された機械が自動的に行います。このように状況に応じた対処が可能になっているのです。
農業用コンピュータシステムは輸出されている
こうしたコンピュータの技術の多くは、日本が開発していて大きなシェアを持っている分野です。日本の食料自給率は低いと言われていますが、不足することなくお米が生産できているというのはこういったシステムや機械を使っているからです。日本は農業機械だけでなく、農業用のコンピュータシステムもどんどん海外に輸出しています。今後も、コントロールやリモートセンシング技術の向上により、さらに簡単に操作できるようなシステムや機械が生まれるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
京都大学 農学部 地域環境工学科 教授 飯田 訓久 先生
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