都会から地方にUターンするのは、どんな人々だろう?

都会から地方にUターンするのは、どんな人々だろう?

人口地理学という学問分野

ある地域で人口の増加または減少が起こる時、その現象は、出生や死亡による変動と、ほかの地域への流出、あるいは逆にほかの地域からの流入による変動が要因です。各地域の出生数・死亡数を分析し、あるいは地域間の移動を調査して、地域における人口変化の要因を研究する学問分野は「人口地理学」と呼ばれています。

Uターンを選ぶ人々に共通する傾向

進学や就職を目的に、地方から首都圏などの都会に移り住む若者たちは毎年数多く現れます。そうした若者たちの中には、しばらくたつと都会から地方へと戻る人もいます。こうしたUターン現象について、いくつかの地域で調査して比較してみたところ、予想以上に似た傾向があり、共通する部分が数多くあることがわかりました。
都会から地方へとUターンする人々は、都会にある大学などを卒業してすぐに地方に戻る人と、就職して何年間か働いてから退職して、地方に戻って別の仕事に就く人とに分かれます。就職してから3年以内に3割が離職する現象を「3年3割問題」などと呼びますが、Uターン現象の調査でも地方に戻る人は5年以内に決断している場合がほとんどです。それ以上の期間を経て地方に戻る人は大幅に少なくなり、都会での仕事を定年退職した後に地方に戻るという人もあまりいません。これは、家庭を築く前の身軽なうちに地方に戻る決断をしている人がほとんどで、都会で長く暮らして生活基盤ができた後にUターンを検討する人はあまりいないことを示しています。

人口減少社会を生きていくために

今後の日本では、地方だけでなく首都圏でも人口が減少していきます。こうした人口減少社会では、住居や商業施設、交通網、各種公共サービスなどを集約したコンパクトシティへの移行の検討や、同じ課題を抱えるほかの国々との情報共有などが必要です。また私たち自身も、職業選択などの人生のさまざまな節目で、これからの人口減少社会でどのように生きていくかをしっかりと考える必要があるのです。

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先生情報 / 大学情報

専修大学 文学部 環境地理学科 教授 江崎 雄治 先生

専修大学 文学部 環境地理学科 教授 江崎 雄治 先生

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人口地理学

先生が目指すSDGs

メッセージ

本学環境地理学科では、フィールドワークやデータ分析を実践して、その成果を卒業論文にまとめます。その際に、調査計画の練り直しや分析手法の改良を通じて「考える力」を鍛えることができます。また、フィールドワークでゼミの仲間や調査対象の人たちと関わることで、人間性や社会性を育むこともできます。このような、実践の積み重ねから得られる力や資質こそが、AIに負けない人間の能力として今後ますます重要になるでしょう。本学科で4年間しっかりと学べば、卒業時にはきっと成長を実感できるはずです。

先生への質問

  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

専修大学に関心を持ったあなたは

専修大学は、1880年(明治13年)に経済科と法律科からなる専修学校として創立されました。「経済科」は日本初の、また「法律科」は私学で初の高等教育機関でした。2024年に創立145年を迎える、日本でも屈指の伝統を持つ大学です。社会科学、人文科学、総合科学、の3系統、8学部20学科からなる社会人文系総合大学として、「自ら問題を見つけ主体的に解決する知力」と「人間力」、「倫理観」を持った人材を育成しています。まずはオープンキャンパスの大学紹介や模擬授業に参加して、大学の雰囲気を体感してみてください。