ロボットとバーチャルリアリティの接点
ロボットの誕生と現在
ロボットは大きく2種類に分けることができます。鉄腕アトムのような自律型と、鉄人28号のような操縦型です。ロボットという言葉は、1920年にチェコで誕生しました。操縦型ロボットは、1940年代から登場し、医療、宇宙、災害現場など、人間が自分で作業するには困難な場所での作業を可能にし、ロボットの起源であるとともに、人間の能力を拡張するツールとして現在でもさまざまな場面で活躍しています。人間が教示した動作を繰り返し再生する産業用ロボットは1960年代に登場しましたが、その稼働数は2009年には世界で100万台を突破しました。その内33万台は日本が保有しており、その数は世界一です。
バーチャル世界でも使われるロボット技術
人工的な刺激を与え、実際には現物は存在しないのに、あたかも存在しているような感覚を人間に与える技術として「バーチャルリアリティ」というものがあります。ちなみにバーチャルは「仮想」として誤訳されることがありますが、本来は「本質的に同じである」ことを意味します。バーチャルの世界で物体にふれたいというときには、「ハプティックデバイス」と呼ばれるロボットのような装置を使用します。この装置で力や振動を発生させ、現物に触れたような感覚を得ることができるのです。その応用として歯科医の訓練用装置があり、映像だけでなく歯を削ったような感覚が手に伝わってきます。このような訓練装置は、本質的に現実と同じであるからこそ意味があるといえます。
ロボットとバーチャルリアリティの接点は人間
ロボットとバーチャルリアリティは、一見あまり関係のないように見えますが、ロボットは人間の代わりに作業環境に働きかける人工物であり、バーチャルリアリティは人間を取り巻く環境を人工物に置き換えたものであるので、両者は人間を接点に相補的な関係にあるといえます。ロボットとバーチャルリアリティは、人間の本質がわかっていないと実現できませんので、両者はともに人間の本質を映し出す鏡だといってもいいでしょう。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
神戸大学 工学部 機械工学科 教授 横小路 泰義 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
機械工学先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?