交通事故から人間を守るITS
交通事故を減らすための取り組み
日本における交通事故の死亡者数は、1970年には年間16765人で、2011年には4611人でした。約40年のうちに、死亡者数は3分の1以下にまで減少しています。それは、シートベルト着用の徹底、道路の改良、信号の整備など、多くの取り組みによって実現されてきましたが、私たちが理想とする「事故0」をめざすためには、よりいっそうの工夫が必要とされます。自動車というものは本来、人間の目で見て、人間の感覚で運転するものですが、それらをコンピュータによって補助していこうというのが、ITS(高度道路交通システム)の発想です。
人と車と道路の連携
ITSとは、単に自動車を進化させるというものではありません。道路にも、車や人の動きを感知し、危険を車に知らせるなどの機能を持たせます。そこで重要になってくるのは、センサー技術と情報通信技術です。例えば、自動車につけたカメラによって道路の白線を検知し、車が蛇行するなどおかしな動きをしていたら、ドライバーのシートベルトを強く締めるなどして注意を促すこともできます。また、道路側からは、レーダーなどを使って車のスピードと車間距離を測り、安全な車間距離を自動車に知らせ、衝突を回避させることもできます。ITSの考え方では、こうした人と車と道路との連携が重要視されるのです。
安全、安心、快適を提供するために
ひとつの技術だけでは、ITSは成り立ちません。さまざまな分野の研究成果の連携が求められます。社会全体にITSを構築していくためには、技術だけではなく、法整備なども必要とされてくるでしょう。また、いくら安全だからといって、ドライバーがストレスを感じるような非常に使いにくいシステムは、良いとは言えません。ドライブが快適に楽しく行えるような環境づくりも大切です。安全、安心、快適を、ドライバーにも歩行者にも提供するためには、さまざまな分野での人間の知恵を結集させなければならないのです。
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先生情報 / 大学情報
関東学院大学 理工学部 情報ネット・メディアコース 教授 水井 潔 先生
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