ゲームをより美しく見せるリアルタイムCG技術

ゲームをより美しく見せるリアルタイムCG技術

リアルタイムで高精細なCGを生成

近年、コンピューターゲームやVR(仮想現実)、3Dシミュレーターなどでは「リアルタイムコンピュータグラフィックス」技術が採用されています。これはリアルタイムレンダリングとも称され、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)が文字通りリアルタイムで高精細なCG画像を生成する技術です。水面の反射や映り込み、滴り落ちる雨の水滴などをよりリアルに表現し、現実世界に近い、あるいはそれを超えるような美しいCG表現を可能にしました。しかし、それには膨大なデータ量の処理が必要で、スムーズな動きを実現するにはレンダリング処理のさらなる効率化が求められます。

メタバース空間におけるグラフィックの負荷

メタバースでは、リアルタイムで多くの人々がそれぞれのアバターで参加します。ユーザーは自身のアバターに愛着を持ち、見た目や表情など、さまざまなこだわりを表現します。例えば、喜怒哀楽の表情や身にまとうファッションを、すべてデータとしてアバターに持たせ、状況に応じてこれらの表示を切り替えて感情表現を行います。その結果、人によってはデータ量が膨大になります。これは通信帯域やメタバース空間のサーバ負荷を高め、スムーズなグラフィック描画やユーザー体験の妨げになっています。

グラフィックの効率化、最適化がもたらすもの

このようなグラフィック処理を改善するためには、メタバースのプラットフォームが参加可能なアバターの仕様やデータサイズに規定を設けること、またアバターがメタバース空間に参加した時点で、そのアバターのグラフィック処理をVR空間に合わせて最適化する仕組みを構築することが有効です。グラフィックの最適化により、状況に応じたサイズに調整され、結果としてアバターがよりきれいに表示されるようになります。
メタバースはまだ新しい分野ですが、今後こうした3DCG技術の効率化や最適化が図られることで、さらに使いやすく楽しめるものになることでしょう。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

東京工芸大学 芸術学部 ゲーム学科 教授 今給黎 隆 先生

東京工芸大学 芸術学部 ゲーム学科 教授 今給黎 隆 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

情報工学、ゲーム情報学

先生が目指すSDGs

メッセージ

数学や物理を学びながら、これらが将来役に立つのか疑問を感じているあなた、ゲームクリエイティブではまさにこの知識が生きます。例えば、ゲームのCGでは数学の知識を持つことで、「こうすればもっと改善できるのでは?」と気づき、実際に自分の手で改良もできます。また、ゲームは総合芸術です。学校で学べる勉強はすべてしっかりと身につけておきましょう。例えば、ゲーム内で取り扱う歴史の事実関係に間違いがあると、違和感からさまざまな指摘を受けてしまいます。ゲーム作りはあらゆる知識が生かせる、奥の深い領域なのです。

先生への質問

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東京工芸大学は 1923(大正 12)年に創設された「小西寫眞(写真)専門学校」を前身とし、創設当初から「テクノロジーとアートを融合した無限大の可能性」を追究してきました。
工学部と芸術学部の 2 学部を有し、工学部は 1 年次に写真とデザインを学ぶことで芸術的なセンスを身につけ、芸術学部はメディアアートを通して工学的な技術を身につけるという、一見相反する両分野を融合させた教育を実践しています。