市場調査をしない新しいマーケティングとは

市場調査をしない新しいマーケティングとは

今、イノベーションが求められている

新しい商品やサービスを作るために市場調査を行う、つまり消費者の声を聞くという手法は、もはや古いマーケティングになりつつあります。というのも、時代の価値観は大きく変化しているため、どこかに答えがあってそれを探せば売れるものが作れるという考え方が通用しなくなっているからです。「イノベーション」という言葉があります。通常は「技術革新」と訳されますが、本来の意味は技術に限っておらず、いろいろな分野で新しい価値観を創造することを指します。今求められているのは、そんなイノベーションなのです。ただし、多くの人が古い考え方に染まる中で、そこから抜け出すのは簡単ではありません。

答えは自分の中にある

では、どうすればいいのでしょう。まず、答えは外にはない、自分の中にあるということに気づくことです。自分の頭で、または企業であれば組織自らが考え出すしかないのです。もちろん、今までそういうことをやってこなかった人が、いきなり答えを出すことはできません。そこで教育プログラムが必要になります。例えば、ある集団に対して、レゴブロックという玩具を使って自分にとって「楽しいこと」を表現してもらいます。そして、作ったものに対してほかの人が質問したり、意見を言ったりします。そんな体験を通じて、作った人は何かに「気づき」、さらに自分を振り返り、こたえは自分の中にあることに目覚めるのです。

ソーシャル・イノベーションが世界を変える

重要なのは、最初から言葉にしないことです。言葉の表現では、従来の考え方に縛られてしまいます。また他者との交流が不可欠なので、そのような場を作る必要があります。このような訓練で生まれる新しいマーケティングは、「ソーシャル・イノベーション」(社会改革)も可能にしています。例えば、発展途上国の貧困をなくす一方で、企業としても成立するといった、従来の政府や企業の役割にとらわれない、新しい組織や企業が誕生しているのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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福岡大学 商学部 商学科 教授 田村 馨 先生

福岡大学 商学部 商学科 教授 田村 馨 先生

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メッセージ

今、時代の価値観は大きく変化しています。そんな中、新しいビジネスの手法、新しい考え方をいかに身につけるかが課題となっています。そう考えると、大学で教える知識体系も実は古い価値観に支配されています。そこで私は、大学の中にいながら地域の学校や企業に協力してもらって、新しい価値観を身につけるための教育プログラムを実践しています。今までの成功例をいくら勉強しても「答え」にはたどり着けません。重要なのは、自分で考えること、自分の中から「答え」を導き出せる能力を大学で養うことなのです。

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福岡大学は、9学部31学科、在学生2万人を有する総合大学です。多くの学生や教職員が行き交う広大なキャンパスは福岡市の南西部に位置し、都心部との交通の便もよく、活気に満ちあふれています。「ワンキャンパス」に全学部が集結しており、総合大学の魅力を生かし、学問・研究および課外活動などにおいて学部間の交流が盛んに行われ、文系・理系だけにとどまらない幅広く多様な視野と知識を得ることが可能な大学です。また、創立から90周年で輩出した卒業生総数は28万人を超え、あらゆる分野で力を発揮しています。