市場調査をしない新しいマーケティングとは
今、イノベーションが求められている
新しい商品やサービスを作るために市場調査を行う、つまり消費者の声を聞くという手法は、もはや古いマーケティングになりつつあります。というのも、時代の価値観は大きく変化しているため、どこかに答えがあってそれを探せば売れるものが作れるという考え方が通用しなくなっているからです。「イノベーション」という言葉があります。通常は「技術革新」と訳されますが、本来の意味は技術に限っておらず、いろいろな分野で新しい価値観を創造することを指します。今求められているのは、そんなイノベーションなのです。ただし、多くの人が古い考え方に染まる中で、そこから抜け出すのは簡単ではありません。
答えは自分の中にある
では、どうすればいいのでしょう。まず、答えは外にはない、自分の中にあるということに気づくことです。自分の頭で、または企業であれば組織自らが考え出すしかないのです。もちろん、今までそういうことをやってこなかった人が、いきなり答えを出すことはできません。そこで教育プログラムが必要になります。例えば、ある集団に対して、レゴブロックという玩具を使って自分にとって「楽しいこと」を表現してもらいます。そして、作ったものに対してほかの人が質問したり、意見を言ったりします。そんな体験を通じて、作った人は何かに「気づき」、さらに自分を振り返り、こたえは自分の中にあることに目覚めるのです。
ソーシャル・イノベーションが世界を変える
重要なのは、最初から言葉にしないことです。言葉の表現では、従来の考え方に縛られてしまいます。また他者との交流が不可欠なので、そのような場を作る必要があります。このような訓練で生まれる新しいマーケティングは、「ソーシャル・イノベーション」(社会改革)も可能にしています。例えば、発展途上国の貧困をなくす一方で、企業としても成立するといった、従来の政府や企業の役割にとらわれない、新しい組織や企業が誕生しているのです。
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福岡大学 商学部 商学科 教授 田村 馨 先生
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