ネガティブだっていい! 「心」のあり方は十人十色
いつもポジティブでなきゃいけないの?
「ポジティブ・シンキング」という言葉は、いろいろなことを前向きに受け止めよう、いつも明るく頑張ろう!というニュアンスで最近よく使われます。確かに暗いよりは明るいほうがよさそうな気がしますが、ちょっと待ってください。本当に何でもポジティブにとらえて、常に前へ進まないといけないのでしょうか? 落ち込んじゃいけないのでしょうか? いつも無理に、いいところだけを見せようとしていると、ふと苦しくなったり辛くなったりしませんか?
ほめて育てるのが向かない人もいる
一概に「ポジティブ=善」「ネガティブ=悪」と決め付けるのはどうでしょう。ある調査研究では、悪い成績を取った人たちをAとB2つのグループに分け、Aを叱り、Bをほめました。すると次のテストでAグループは全体の成績が上がりましたが、Bグループは下がったのです。成績が悪くてもほめられたので、向上しようと思わなかったのか、叱ってくれないことにがっかりしたのかもしれません。このように、「ほめて育てる」ことが誰にでもよい効果を与えるとは限りません。「自分はミスをしやすい人間だ。またミスをしたらどうしよう」という思考はネガティブなようですが、そういう人はミスをしないように細心の注意を払うので、結果的にうまくいくことがあります。一見ネガティブな考え方でも、その人がそれに適応しているなら、無理にポジティブにならなくてもいいのです。
社会の価値観に惑わされなくてもいい
仕事に関しても、「早く好きなことを見つけて、好きな仕事に就こう!」とうながす風潮があります。しかし、中学生や高校生で「これだ!」ということを見つけられる人の方が少ないでしょう。何が好きかもわからない時期に、無理して好きなことを見つけようとすること自体がプレッシャーになります。多様な価値観の時代だからこそ、思春期や青年期の心には自己に関する新たな葛藤が生まれるのです。心理学は「いま」を映す青年期の心の問題にも、積極的にアプローチしています。
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先生情報 / 大学情報
兵庫教育大学 学校教育学部 教授 中間 玲子 先生
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