子どものために楽しく保育を学ぶ

子どものために楽しく保育を学ぶ

美術への苦手意識

美術教育は、子どもが生きる能力を育む上で重要な役割を果たします。例えば積み木で城をつくるとき、途中で崩れてしまっても何度もトライしたり、違う積み方を考えたりすることで、レジリエンス=回復力・折れない心を養うことができます。しかし、子どものときには絵を描くこと、ものをつくることが好きでも、周囲から「上手」「下手」という判断・評価を受けることで、次第に美術全般に対して苦手意識をもつようになるケースが少なくありません。保育や幼児教育においては、こうした傾向を踏まえた上で、より良い教育方法のあり方を考える必要があります。

美術教育プログラムと評価方法

従来の美術教育では、クラスの子どもたちに同じ対象を同じように一斉に描かせるような方法が主流でした。またその評価も「よく描ける」「よく描けていない」という一律の基準をもって行われていました。現在求められるのは「子ども主体のプログラム・評価方法」です。例えば高度な技術も必要とせず、かつ多様な選択肢の中から自分で選び取りながら作品をつくれるようなプログラムがあれば、子どもは素直に自分を表現できます。またその評価方法も、「写実的であるか否か」だけでなく、「美味しそうである」「香りが伝わってくる」といった基準で評価するのです。

教育現場のニーズに応える

日本の教育現場では教師が不足しており、一人一人の表現を受け止めて適切に評価することは困難です。そこで期待されているのが「臨床美術」のノウハウを応用したプログラムの開発です。臨床美術は芸術療法とも呼ばれ、例えば高齢の認知症患者がリハビリとして絵を描いたり、オブジェをつくったりすることを指し、そのための専門のアートプログラムがあります。こうしたプログラムを用いて、どのようにアレンジすれば子どもの意欲を高め、かつ一人一人に向けた評価がしやすくなるのかを考えて、その成果をもとに教育現場に提言することも、保育士養成や幼稚園教諭養成課程における美術教育研究の一環なのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

東北福祉大学 教育学部 教育学科 准教授 青木 一則 先生

東北福祉大学 教育学部 教育学科 准教授 青木 一則 先生

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幼児教育、保育学、臨床美術

先生が目指すSDGs

メッセージ

将来教師になることをめざしているなら、まずは自分の感性に自信をもって子どもに寄り添えるようになってほしいです。そのためには、自分が培ったものに自信がもてるように学び、自分の良さを生かすことが重要です。なぜなら、他人を認めるためには、自分を認めることが不可欠だからです。ぜひ高校や大学での学びを通して自分の良さ、素晴らしさに気づける柔軟な感性を磨いて、教育者としてのスタートラインに立ってもらいたいです。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

東北福祉大学に関心を持ったあなたは

東北福祉大学では、建学の精神である「行学一如」(理論と実践の融合)を目指し、キャンパス内にある附属病院「せんだんホスピタル」や介護老人保健施設「せんだんの丘」、幼稚園や保育所等の関連施設で様々な実習を行っています。実学臨床教育やインターンシップを行い、より現場に近い教育を実現します!福祉・マネジメント・子ども・医療・リハビリをキーワードに4学部9学科で構成されている「福祉の総合大学」です!