病気や障がいのある人から、活力を引き出す作業療法士
生活活動すべてをサポート
重い病気やけがで、身体が思うように動かなくなり、今までどおりの生活が送れなくなることがあります。そういう人たちが、リハビリテーションを通して、より満足できる生活が送れるようサポートする、それが作業療法士(OT)の仕事です。リハビリテーションと聞くと、歩く・手指を動かすなどの筋力トレーニングを思い浮かべる人が多いようですが、作業療法の場合には生活活動すべてがリハビリになります。生活活動とは、朝起きてから夜寝るまでのさまざまな日常生活のことで、食事やトイレ、入浴などの基本活動だけでなく、仕事や学校、社会交流、遊びや楽しみの場などでの活動も含まれます。
患者さんと作業療法士が一緒に問題を解決
訓練で、指が動くようになって食事が自分でできるようになったとしても、一日のほかの時間にすることが何もなければ、誰でも退屈し、場合によっては「自分は何もできない」と気持ちが沈んでしまいます。そこで作業療法士は、こうした一人ひとりと向き合い、その人が、生活に何を望んでいるのかを聞き取って、生活をよりよく改善するための提案をし、サポートを行います。人の生活は多様なので、知らないことにも直面します。例をあげれば「キッシュ(卵と生クリームを使ったフランスの郷土料理)を作りたい」と患者さんが言ったとして、作業療法士が作り方を知らないということがあります。その際には、患者さんから作り方を聞きながら、「この工程は難しいので別の方法を考えましょうか」などと、患者さんと一緒になって問題解決をしていきます。
活力は、幸せな生活の原動力
作業療法士が一方的にサポートするのではなく、本人の問題解決能力をアップさせるような働きかけをすると、例えばキッシュができたときの達成感、自信もさらに強まります。そうした自信や喜びは、生きるうえでの活力になるものです。そして活力がみなぎっていると、元気に生活することができます。作業療法士とは、日常の小さな達成感の積み重ねから活力を引き出す、魔法の仕事でもあるのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。