伝統と感性が生み出す「新たなMADE IN JAPAN」ブランド
ファストファッションは「ブランド」でしょうか?
「ブランド」というと、ファッションを思い浮かべる人が多いでしょう。現在では「ファストファッション」と呼ばれる、その時々のトレンドを取り入れながら低価格、早いサイクルでどんどん生産と消費を繰り返すファッションが台頭しています。果たしてこれらは「ブランド」なのでしょうか? 答えは「ノー」です。ブランドとは長い歴史や伝統、クラフトマンシップを通した、一貫したコンセプトのもとに製品が作られ、時代とともにデザインや仕様が変化しても、めざす本質は変わらないもののことを言うのです。
形を変えてもブランドの本質は変わらない
例えば、ルイ・ヴィトンは1854年に旅行用かばん専門店として出発してから150年以上、「Bon Voyage!」というブランドを貫くDNAのもとで製品を作り続けています。最初は馬車に上積みするためのトランク作りから始まり、旅の手段が船になり、車や飛行機へと進化するにつれ、旅客が手に持つかばんへと形態を変えてきました。しかし「楽しい旅行」というブランドコンセプトはずっと変わらず、世界中で圧倒的に支持され続けています。流行を追い続けるリアルクローズ的なブランドは、いずれ消費者に飽きられ、衰退する運命が待ち受けており、本物のブランドとは一線を画すべきでしょう。
伝統工芸と感性の融合で新しいブランド価値を
ヨーロッパの名だたるブランドは優れた職人の手仕事、伝統工芸から出発しました。今、日本各地に伝わる地域伝統工芸に着目し、現代的なアレンジを加えて、どこにもないオリジナル性の高いブランドに育成しようという動きが盛んになっています。例えば、岩手の成島和紙、六原張り子や浄法寺漆工芸の技術を合成し、若いデザイナーの視点を加えることでモダンで個性的なバッグを作るブランド「コシェルドゥ」があります。地域の伝統工芸の技術と新しい感性が融合した絶対にまねのできない価値が育ち、世界へ羽ばたく「新たなMADE IN JAPAN」のブランドが生まれつつあります。
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先生情報 / 大学情報
阪南大学 経営学部 経営学科 教授 平山 弘 先生
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