再生可能エネルギーの次世代の主役、海洋エネルギー
日本は出遅れた海洋エネルギー
海洋エネルギーとは、洋上風力や潮・波の力、そして海洋温度差を使った再生可能エネルギーの総称です。日本では1970年代に研究が行われていましたが、発電コストが高いという問題があり研究は下火になっていました。しかし、東日本大震災や原発事故の影響を受け、現在では日本でも本腰を入れた研究が始まっています。しかし、すでにヨーロッパやアメリカでは研究が進んでいて、日本は明らかに出遅れているのが実情です。
潜在量は先進国ドイツに勝る
とはいえ、再生可能エネルギーの潜在量は、再生可能エネルギー先進国であるドイツよりも日本の方が多いという主張があります。その根拠が、日本の広大な排他的経済水域です。面積は447万平方キロメートルで世界第6位、中国の5倍にもなります。また、海岸線総延長は3万キロで、アメリカ、中国、オーストラリアといった大国を抑えてこれも世界第6位です。
また従来、再生可能エネルギーは陸上のものが主流でしたが、2010年代には洋上風力発電が急激に成長すると見込まれており、さらに10年ほど遅れて波力や潮汐(ちょうせき)を利用した発電が伸びてくるだろうと考えられています。再生可能エネルギー利用はこれから海が主な舞台になっていくのです。
地域分散型へ
日本では現在、大きな電力会社が巨大な発電所で発電し、送電も行っていますが、再生可能エネルギーは小規模の発電です。再生可能エネルギーが普及するということは、遠距離の巨大な電源から地域分散型の電源へと、電力需給構造が大きく変わるということです。つまり、まちづくりの中にエネルギーの生産・利用が欠かせない要素になっていくということです。
そのためには小さな電力会社が送電網を自由に使えるように、発送電の分離が不可欠ですし、送電のための技術も必要になります。再生可能エネルギーの実用化にあたり、IT技術や送電材料など、研究はさまざまな分野に広がっていくと考えられます。
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