これからの成長産業、海洋エネルギーに欠かせない実証実験場

これからの成長産業、海洋エネルギーに欠かせない実証実験場

これからの主役、海洋エネルギー

再生可能エネルギーは陸上から海洋上へと舞台が移りつつあります。イギリスでは2020年までに洋上風力で20ギガワットを発電しようと計画しています。1ギガワットがおおむね原発1基分ですから、その規模がわかるでしょう。
さらに波の力や潮の流れの力を利用した海洋エネルギーも、確実にこれから成長する分野だと考えられています。

実証実験場が必要なわけ

これら海洋エネルギー利用技術の開発に欠かせないのが実証実験場です。なぜでしょうか。海洋発電の中でも特に波力発電は、発電技術が多彩です。例えば波でフロートを上下させ、その力で発電するものや、受けた波が下がったときにタービンを回すものなど、方式も多彩ですし設置場所もさまざまです。それぞれの発電技術を完成させるには、実際に海に試作品を設置し、実験を繰り返さないといけません。しかし、開発事業者が個々に実験場を作ることは、場所の確保の問題や海底ケーブルなどを敷設するコスト負担の問題などがあり、事実上不可能です。
そこで、公的機関による実証実験場が必要なのです。ヨーロッパにはすでにそうした実験場がいくつかあります。それらの機関は実験だけでなく、その検証や技術指導、援助などのサービスを行っています。こうした機関には多くの研究者や技術者が集まります。それだけでなく、施設の見学に多数の観光客が訪れ、その地域を活性化させます。

魅力的な産業へ

日本は欧米に比べ、洋上発電の研究開発は出遅れていましたが、2009年に波力発電検討会が始まり、2012年には実証実験場を国が整備することも決定しました。
風力発電機はバス1台ほどの大きさにぎっしり機械が詰まっているもので、製造業にとっては非常に魅力的な製品です。また、発電機を海に運び設置する仕事は建設業にとっても大きな仕事です。
洋上の再生可能エネルギー分野は、有望な産業としてこれから研究や開発が急ピッチで進められるでしょう。

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先生情報 / 大学情報

東京大学 生産技術研究所 機械・生体系部門 教授 黒﨑 明 先生

東京大学 生産技術研究所 機械・生体系部門 教授 黒﨑 明 先生

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船舶海洋工学、機械工学、電気工学

メッセージ

再生可能エネルギーの普及には時間がかかります。最低でも10年、実際には20~30年はかかるでしょう。そのため研究や開発の主役は、私の世代ではなく今の高校生やもっと若い人たちとなります。技術者もたくさん必要となりますので、ぜひ将来この分野に関わりを持ってほしいと思います。
またこれからは、大きな権力に考えなしに従ったり、その言葉をうのみにしたりしないでください。政治に関心を持ち、ひとりの大人としてものを見る目を養い、正しい判断ができるようになってください。

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