再生可能エネルギーに置き換えると、私たちの負担は増えるのか?

再生可能エネルギーに置き換えると、私たちの負担は増えるのか?

再生可能エネルギーのコスト

18世紀後半の産業革命以来、私たちは石油や天然ガス、石炭といった化石燃料によって豊かな暮らしを実現させてきました。しかしそのしわ寄せが「地球温暖化」という形になって押し寄せています。そこで、既存のエネルギーシステムを変えようという動きが世界中で加速しています。化石燃料の代わりとして注目されているのは、太陽光や風力、地熱といった「再生可能エネルギー」です。環境への負荷が少ないことがその最大のメリットですが、実際に置き換えたとき、私たちは実際にはどの程度のコストを負うことになるのでしょうか?

コストをどう捉えるか

そのコストを正確に把握するためには、関連するデータを集め、統計的に分析する手段が有効です。日本では政府がデータを管理していますが、一般には公表されていないため、発電事業者に協力してもらいながら収集する必要があります。そのうえで、部材や工程別にコストを切り分け、どのような要素が重要かを分析するのです。
日本は、エネルギー関連の政策や制度においては世界に後れをとっていることなどから「再生可能エネルギーはコストが高い」とされてきました。しかし、近年、日本でも太陽光発電については化石燃料より低いコストで発電できるようになりつつあります。

社会を実際に変える

化石燃料は、ロシアとウクライナの戦争のような混乱が起こると一気に高騰し、大部分を輸入に頼る日本の産業や暮らしは深刻なダメージを受けます。しかし太陽光や風、水力、地熱などは国内に存在しつづけるものですから、他国の情勢に振り回されることなく、エネルギー供給が可能になります。そのための技術的な進歩やインフラ整備に注目が集まっています。加えて、実際に変えるためにエネルギー転換によって生じるコストに着目し、私たちの生活や企業活動に及ぼす具体的な影響を指標として示すことが、経済学の重要な役割なのです。

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先生情報 / 大学情報

大阪産業大学 経済学部 国際経済学科 准教授 木村 啓二 先生

大阪産業大学 経済学部 国際経済学科 准教授 木村 啓二 先生

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環境経済学、環境エネルギー論

メッセージ

私が専門とする、経済学におけるエネルギー転換、再生可能エネルギーは、研究テーマとしては非常に新しい部類に入ります。現在の大人たちでもわからないことがたくさんあり、これから大学に入るあなたのような若い世代が、柔軟な発想をもって携われば、その発展に大いに貢献できる余地があります。また、社会の中でもこのテーマに詳しい人材が不足しています。大学でしっかりと学ぶことで、ビジネスを含む幅広い分野で求められる人材になることもできるでしょう。

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経済学は「お金」の流れを掴みながら、経済のしくみを探る学問ですが、「お金」について学ぶだけが経済学ではありません。人や企業の行動を分析し、どうすれば「幸せな社会」を創造できるのか、私たち人間と経済社会との関係を総合的に研究するのが経済学です。国際経済学科は、よりグローバルな視点で活躍できる人材を育てます。経済学科は、経済の視点から社会の変化を捉える力を身につけます。また、経済学部には「特別コース」(上級キャリア、公務員、観光ビジネスコース)があり、各々の分野に関する特別な教育を展開しています。