インターネット時代の知的財産権を考える
知的財産権は強すぎる?
パソコンや携帯端末などを使って、文章や画像、音楽、映像などが手軽に複製(コピー)できるようになりました。さらにインターネットを介せば、誰もがその著作物の発信者になれます。しかし他人の作品を無断コピーしたり発信したりすれば、著作権の侵害です。大量の情報がボーダーレスで行き交う現代、知的財産をめぐる考え方は変わっていくのでしょうか。
知的財産権には著作権、特許権、商標権などがありますが、作者が当然の権利として強い力を持ち過ぎていて、利用する自由を邪魔しているのではないかという見方があります。これについては、保護と利用のバランスという観点から、さまざまな動きが見られます。
ネット上には孤児著作物がいっぱい!
例えば、権利者になることが多い企業などは、利益を得るために、知的財産権をより強い権利にしようと国内外の政治に働きかけています。一方、個人はそれにかけられる資金や時間が企業より限られているので、なかなかバランスを変えることができないのが現状です。
またインターネットの世界では、「孤児著作物」の割合が約75%あると言われ、問題になっています。孤児著作物とは、作者の死後もしくは公表後50年間という著作権の保護期間中にありながら、作者不明または所在がわからないため、利用許諾が得られない著作物のことです。そもそも、すべての著作物に対してそれだけ強い保護が必要かどうかを問い直すべきなのかもしれません。
著作権のあり方をめぐる新たな活動も
アメリカをはじめ日本でも、著作物の作者自らが他者の利用に対して条件設定できるクリエイティブ・コモンズ(CC)という国際非営利組織の運動が始まっています。従来型の権利の主張か放棄かの二択ではなく、作者の明示や営利目的で使用しないことなど項目を選択することにより、著作権に関する意思表示をしようと提唱しているのです。これもインターネット時代の著作権のあり方を探る新たな活動として注目されています。
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