中国であって中国でない? 香港の特異性とは
香港ってどんなところ?
香港は面積がおよそ1000平方キロ、公用語は中国語と英語ですが、話し言葉は広東語です。歴史的に見ると、香港はずっと中華帝国の一部でした。唐や宋の時代には海上交通の要衝として重要な地位を占めていました。付近の海域は海上交通が盛んで、多くの外洋船が行き来しました。
中華帝国の一部であった香港ですが、1842年、アヘン戦争の結果、南京条約が結ばれました。これによって、香港島はイギリスに割譲されます。さらに1860年、北京条約によって九龍半島の先端部が、そして1898年の新界租借条約締結によって、九龍半島の基底部も割譲、そしてこの年から99年間イギリスが租借することになりました。以来、日本に統治された時期もありましたが、1997年まで香港はイギリス統治下にありました。
戦後の香港
戦後、中華人民共和国の成立前後に、中国内地から香港に大量の移民が流れ込みました。彼らは中国内地へは戻らず、香港に定住しました。そしてその世代の子どもたち、つまり香港生まれの香港育ちという戦後世代たちが成長しました。
1970年代末、「香港返還問題」が浮上してきます。それは、新界租借条約の期限切れが現実的な数字として認識されはじめたからです。例えば、香港の不動産向け融資は15年物が多く、ローン完済時期が1997年6月30日をまたぐのが間近になってきたのです。
香港という地域の特徴
こうした状況を受けて、1982年に中英交渉が始まり、1984年に返還後の香港をどうするかという中英共同声明が発表されました。主な内容は、主権は中国が回収する、高度な自治を保証する、制度は変えず繁栄を保持する、というものでした。返還後の香港は一国二制度が50年間実施されることになりました。
このように、香港は歴史に翻弄されましたが、そのせいか、人々は政府に頼らない自立の気風に満ちています。
香港を通して中国やアジアを見ることで、日本からの視点とは違う考え方や文化に触れることができるのです。
参考資料
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