映像を研究するってどんなこと?
学問として映像をとらえる
映像を観るとき、あなたは映し出されたものをただ楽しんでいるかもしれません。観客・視聴者としてはそれでもよいのですが、映像を学問としてとらえるときには、それがいかに作られているかを考えることが大切になります。
例えば映像には、演出、カメラワーク、編集、音響効果の技法が含まれています。これらが表現手段としてどのように使われているかに注目し、分析することも映像学の一つです。また、特定の監督のもと、どういった映画が作られたのかを考察する、美学的な面から表現のあり方を問う、実験映画など前衛的な作品の芸術的・文化的・社会的な意味を読み解く、映画産業を経済の視点から分析することなども興味深いテーマです。さらに、映像テクノロジーの進歩を歴史から、物語性の理解などを心理の面から研究することもできます。
映像の持つ力
映画・映像にはその時代を映し出すだけでなく、社会を動かす力があります。例えば、女性は男性に従うことが常識とされ、男性中心の考え方が映像制作にも反映された時代がありました。しかしそれを批判する世論が生まれ、イメージを覆す女性像を描いた映画が作られるにともない、人々の意識も徐々に変わってきました。このように映像の社会的な役割を考えることも重要なことです。
既存の学問の枠組みを超え、その意味を問う
映像学とは、芸術学、哲学、心理学、社会学、歴史学、経済学、政治学など既存の学問の枠組みを超え、多様な面から映像を検証し、その意味を再構築することだと言えます。映像は社会のあらゆる動向と密接な関係を持っているので、それを俯瞰(ふかん)することで、さまざまなつながりが見えてくるのです。ここが映画・映像研究の面白いところです。映画館で映画を観るだけではなく、テレビやインターネット、街頭の巨大モニタなど、私たちは今やいろいろな場所で映像に触れます。映像が巷に溢れる現代だからこそ、その意義や関係性、影響を問うことに価値があるのです。
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