ブランドは、作り出され育っていくもの
ブランドの価値
一流ブランドでは、価値を高めるために意図したイメージで統一するブランディングを徹底しています。それは商品のみならず、社員が用いる書類に至るまで、ブランドに関係するすべてのものに及びます。例えば、数十年にわたりオートクチュールのドレスを発表してきた有名ブランドに、ある企業が企画書を提出したところ、内容を読まれる前に一目見ただけで突き返されたということがありました。読みやすさを優先してゴシック体の文字で企画書を作ったところ、エレガントなブランドのイメージとは乖離(かいり)しているために一緒に仕事はできないと判断されたのです。
ブランディングの3つの柱
ブランディングは、異業種への展開が盛んである場合に特に重要視されます。例えば、ホテルがウエディングというサービスを行うといったことです。都会のラグジュアリーホテルであれば、招待状から料理に至るまで高級で上質なイメージに統一して、ラグジュアリーなイメージを全サービスに踏襲しているのです。
このようなブランディングを行う際は、「マーケティング」、「マーチャンダイジング」、「プロモーション」の3つの要素を踏まえます。市場の動向についての調査を行うのがマーケティングであり、それを受け継いで商品企画を行うのがマーチャンダイジングです。例えばシューズメーカーの場合、世間に健康志向が高まっている傾向がみられたら、商品企画として革靴からスニーカーへの転換をデザイナーに提案します。そして、プロモーションとして広告を出すには、SNSなのか、ファッション雑誌なのか、あるいは新聞なのかを提案に沿って考えていくのです。
イメージが育っていく
ブランドイメージは意図して作るだけではありません。ブランドが世の中に認知され始めると、ユーザーの中に自然と育っていくブランドイメージがあります。ユーザーからの発信がさらなるブランドイメージを作り出して、それが意図したブランディングと一致することで強固なブランドが作られていくのです。
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先生情報 / 大学情報
神戸芸術工科大学 芸術工学部 建築・環境デザイン学科 教授 瀬能 徹 先生
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