21世紀を創造する「総合的な学力」が求められている
次の時代に求められる力をつける
学力というと、テストで測れる力だと考えられがちですが、本来は、「生きていくために必要な総合的な力」を意味します。時代や社会が変わると、求められる学力も変わりますが、日本の教育は、いつも、その時代の大人に求められる能力を子どもに身につけさせ、その子が大人になったときには、時代遅れになっているということを繰り返してきました。これからは、社会がどう変わっていくかを見通し、どんな学力が必要か、それをどうすれば育めるかを考えることが必要です。
創造性とは、豊かに知識を学ぶこと
現代のように変化の大きい時代には、創造的な力が求められます。創造性というと、知識と対立するものと思われがちですが、むしろ創造的な力をつけるためには知識が必要で、特に「豊かに知識を学ぶ」ことが重要になります。「豊かに知識を学ぶ」とは、「わからない」ということを大事にして、丁寧に対応することです。勉強が苦手な子は、単にわからないのではなく、ほかの子が気づかない疑問を持っていることも多いのです。教師にはそうした疑問を採り上げ、みんなで一緒に考えさせることが求められます。そうすることで、勉強ができる子も、今まで知らなかった考え方を学ぶことができるのです。
痛みに対する感受性を育てる
現代に求められるもう一つの要素は、痛みに対する感受性です。OECD生徒の学習到達度調査が示す21世紀に求められる中心的能力の中にも、自分たちの限界やニーズ、権利を主張でき、ほかの人とうまくやっていけるといった要素が挙げられています。そうした能力は、個人の勉強だけでは身につかず、学級全体でつけていくことが大切です。人間には必ず弱い部分がありますが、それを直さなければならないとだけ考えるのではなく、弱さを前提に助け合える力を育むことが求められています。そのためには、誰かが抱える課題についてみんなで一緒に考えることです。その人の立場に立って考えることで、相手や自分のつらさや弱さを本当に理解し、共感できるようになるのです。
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