「粉体」が作る、肌を美しく健やかに保つ機能性化粧品
紫外線をカットする成分が肌にダメージを与える!
紫外線は肌にとって大敵です。美しい肌を守るために、紫外線をカットする成分の入ったファンデーションを使っている女性も多いことでしょう。その材料となる酸化チタンなどは、光活性が強く紫外線カット効果に優れています。一方で、肌になじみにくい無機物なので、肌荒れなどのトラブルを起こすことがありました。そこで最近では、肌への刺激が少ない有機系の材料が使われるようになってきました。肌にやさしい材料を使って紫外線を確実にカットしながら、美しい肌を演出する、そんな化粧品作りにも役立っているのが「粉体」技術なのです。
粉体の大きさと形を自由自在に制御
化粧品に使われる粉体の大きさは、わずか10ミクロン程度です(1ミクロンは1ミリの千分の1)。この微細な粉体をきめ細かく制御し、表面の性質などを自由自在に加工することで、紫外線カットや美白効果、シミの防止や肌を美しく見せる偏光効果を持つ高性能な化粧品(機能性化粧品)を作ることができます。
高精度な形状コントロール
美しい肌を演出するには、光をうまく利用する必要があります。板状の形をしている天然鉱物の雲母(マイカ)を使用すると光はマイカの表面で反射し、肌にツヤ感を出すことができます。また、マイカの表面に酸化チタンのナノ粒子をコーティングするとキラキラとしたパール効果を発揮することもできます。また透明で球状の微細なナイロン粒子を使用すると毛穴を補正し、なめらかな透明感のある肌に仕上がります。このように機能性化粧品では、求められる機能に応じて形や大きさを緻密(ちみつ)に制御することが、機能性を高めるカギとなります。このような高性能な化粧品を作る基盤技術を支えているのが粉体工学です。ナノレベルからミクロンサイズの微粒子の表面形態制御は世界中で研究が進められています。新しい機能性化粧品の研究・開発とは世界最先端の粉体工学を駆使したものなのです。
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先生情報 / 大学情報
大阪公立大学 工学部 化学工学科 教授 綿野 哲 先生
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