若年化する動脈硬化から心臓を守ろう!
子どものときからもう動脈硬化は始まっている!
動脈硬化は、動脈血管の内壁にコレステロールなどの脂質がたまり、進行すると血管の内腔が狭くなって血管自体が硬く、もろくなる状態です。動脈硬化によって脳の血管が詰まる脳梗塞や、もろくなった血管が血圧に耐え切れず破れる脳出血などは高齢者に多く見られるため、動脈硬化は中高年以上の疾患と思われてきました。しかし血管内壁に脂質がたまること自体は、実は子どものときから始まっているのです。動脈硬化のメカニズムは完全には解明されていませんが、動脈の最も内側にある内皮がさまざまな原因でダメージを受けることがきっかけだと考えられています。
40代の男性に高まる心筋梗塞のリスク
動脈硬化の要因には高血圧、糖尿病などの生活習慣病、喫煙、肥満などがあげられますが、大きく影響するのは加齢と性別です。年齢を経るごとに血管内壁に物質が厚くたまっていきますが、ホルモンの関係で男性の方が女性より動脈硬化が進みやすいのです。特に、体中に血液を送り出すポンプとしての役割をもつ心臓自身に栄養を送る冠動脈の硬化が進んで完全に詰まってしまうと、心臓疾患の中でも死に至る確率が高い「心筋梗塞(しんきんこうそく)」の引き金となり非常に危険です。動脈硬化は若年化が進行し、男性は40代ぐらいから心筋梗塞の患者が増える傾向にあります。
欧米型の食生活が動脈硬化を加速
心筋梗塞は、以前はもっと高齢でやせ体型の発症者が多かったのですが、現在、心筋梗塞を発症する若い男性患者の多くは肥満傾向にあります。欧米化した食生活が要因のひとつとして考えられ、子どものときから高脂肪、高コレステロール、高カロリーの食事をし、運動不足の生活を続けていると当然肥満になり、動脈硬化も10年単位で早く進みます。メタボリック・シンドローム、いわゆる内臓脂肪の蓄積と動脈硬化の関係も見逃せません。心筋梗塞のリスクは遠い将来のことではなく、子どもの頃から食習慣を見直し、昔からの日本型食生活のよいところを取り入れることが大切です。
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先生情報 / 大学情報
大阪公立大学 医学部 医学科 講師 江原 省一 先生
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