人間の未来を支えていくヒューマノイド・ロボットの役割とは?

人間の未来を支えていくヒューマノイド・ロボットの役割とは?

さまざまな研究成果の結集としてのロボット

ヒューマノイド(人間型)・ロボットの研究において、日本は世界でも最先端を行く国の一つです。ロボットの研究開発では、センサー、アクチュエータ(作動装置)、コントローラなどを組み合わせたシステムを、機械工学や材料工学、情報工学などさまざまな分野の知識と技術で統合していくことになります。そうしたことから、ヒューマノイドの研究とは、すなわち人間とはどんなものかを解明することだと言えます。

人間の代わりに危険な任務を担うロボット

ヒューマノイド・ロボットが活躍する分野として期待されているものの一つは、災害現場への派遣です。生身の人間が立ち入ることが困難な状況にある災害現場にロボットを向かわせて、現地調査や人命救助に活用する手法が検討されています。災害現場では、階段やハシゴなど人間が利用することを前提にした構造の建造物に入らなければならない場合も多いため、人間型であることが大きな利点となります。また災害時には対応すべきことが多くあるため、何か一つの用途に特化したロボットよりも、ヒューマノイド・ロボットの方がさまざまな問題に柔軟に対処できます。
また、宇宙開発の分野で、宇宙飛行士の代わりに船外活動を行えるロボットの開発も進められています。宇宙空間における船外活動では、宇宙デブリ(宇宙を漂う人工衛星の破片などのゴミ)が宇宙飛行士に衝突する危険性があるからです。

ロボットが人間のよきパートナーとなる未来

これからの高齢化社会に向けて、ヒューマノイド・ロボットが社会のなかでさまざまな役割を担うようになることも期待されています。高齢者を介護するロボットや、不足する労働力を補うロボットなどが登場すれば、それらは人間のよきパートナーとなるでしょう。もちろん、いきなり100%完璧なロボットをつくることは無理ですが、社会がロボットをより受け入れやすくなるような施策を進めていけば、将来、人間とロボットとの新しい関係が生まれてくるはずです。

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早稲田大学 創造理工学部 総合機械工学科 教授 高西 淳夫 先生

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機械工学

メッセージ

ロボットは、自動車と比べても関連する分野がずっと多い研究対象です。材料、部品、コンピュータ、ソフトウェアなど、一人で全部をつくるのは不可能です。どんな分野の知識でも何かの役に立ちますから、高校生のときにはまず、自分が得意な科目をどんどん伸ばしましょう。また、ロボットの研究ではさまざまな分野に属する多くの人々と関わりますので、友だちとたくさん遊んで、いろいろな人と仲良くなれるコミュニケーション力を身につけてください。

早稲田大学に関心を持ったあなたは

新しい時代に一歩を踏み出す力は、「今」だけの想いで生まれるものではなく、「今まで」の積み重ねが「これから」を創造する力となって動き出します。125年を超える歴史を刻み、“私学の雄”として確かな伝統を受け継いできた早稲田大学は、時代を創り、動かし、育んだ“知”を社会に活かすことで、力強く前進を続けてきました。そして今、世界基準を視野に入れたグローバルユニバーシティ“WASEDA”として歩み始めています。WASEDAの未来、世界の未来を担い、新しい歴史をつくるのはこれから入学してくるあなたたちです。