ロボットにとって、お好み焼きをひっくり返すことは簡単なのか?
ロボットがお好み焼きをひっくり返すには
お好み焼きをひっくり返すことを考えてみると、最初は力の加減やタイミングが難しいでしょうが、慣れればすぐにできるようになるでしょう。しかし、人間がコツをつかめばすぐにできることでも、ロボットには難しい作業です。
ロボットに人間と同じ動きをさせる方法は、大きく分けて2つあります。ひとつはプログラミングで忠実に動かす方法、もうひとつは人間の動きをデータとしてロボットに取り込んで学習させる方法です。人がお好み焼きをひっくり返す動作を何パターンもロボットに学習させ、成功時に共通するコツを抽出してロボット自身で応用できるようにするのです。プログラミングで動かされているロボットは、お好み焼きの重さやサイズといった条件が変わると同じことはできませんが、動きのコツを学んだロボットなら条件や環境が変わっても対応できるでしょう。
現状の産業用ロボットの課題
日本では多くの産業用ロボットが活躍していますが、その大半は単純作業に特化したものです。例えば、ドアにはレバータイプ、ドアノブタイプ、引き戸といろいろな種類があります。人間は多くのドアを問題なく開けられますが、ロボットには開け方が統一されていないドアを開けることは非常に難しいのです。また、決められたサイズの机で作業をするロボットは、机の高さが数センチ変わっただけでも同じ作業ができなくなります。
人を知ることでロボットを進化させる
ロボットに大量のデータをインプットして学習させる方法をディープラーニング(深層学習)といいます。これを可能にしているのがニューラルネットワークです。人間の脳には無数の神経回路がありますが、ニューラルネットワークはそれと同じ仕組みをコンピュータで再現したものです。動きのコツを学ぶ人間の脳の働きを再現できれば、もっと器用なロボットを開発することが可能になると期待されます。
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埼玉大学 工学部 電気電子システム工学科 准教授 辻 俊明 先生
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